車好きの多くが時計好きということもあって、"時計×車"のコラボレーションはめずらしくはない。しかし今年から始まるロジェ・デュブイとランボルギーニ・スクアドラ・コルセのコラボレーションには大きな期待が集まっている。なぜなら両社とも、業界きっての"革新的"な存在だからだ。
普通を好まぬ姿勢が、魂を揺さぶる
日本がランボルギーニの販売数で世界第二位となったのは、スーパーカーブームの影響で一種の"神格化"が進んでいるからだろう。攻撃的で過激で革新的なスタイリングとスペックは、今でも"スーパーカー"の代名詞となっている。
この過激なブランドとパートナーシップを組むのが、スイスの時計ブランド「ロジェ・デュブイ」である。1995年に創業されたロジェ・デュブイは、時計業界の中ではかなり若い。しかしその若さを武器に、因習に流されずに独創的な時計を作ってきた。その一方で、伝統的な時計作りの技術をしっかりと踏襲してるのも特徴。つまり"伝統と革新"を具現化しているのだ。
「ロジェ・デュブイとランボルギーニとの間には、革新的という共通するDNAがあります。革新的でイノベーションを追求するだけでなく、"デザインの力"を理解している点も同じでしょう」と語るのは、ロジェ・デュブイのプロダクト戦略ディレクターを務めるグレゴリー・ブルタンだ。
「時計と車のコラボレーションはめずらしい事ではありませんが、その内実をみるとブランドロゴを掲げているだけという場合も少なくない。しかしこの『エクスカリバー アヴェンタドールS』には、ランボルギーニのロゴは表側には一切入っていません。この時計はいわば"共同開発"のようなもの。ランボルギーニのデザインコードで、ロジェ・デュブイの時計を作ったのです」
Gregory Bruttin
グレゴリー・ブルタン
ロジェ・デュブイの商品戦略を担当するキーマン。
過激であることに、一切の躊躇もない
両社の間で行われる会議では、デザインや開発の担当者とじっくり話し合いながら時計を作っていった。
「彼らはすぐにロジェ・デュブイの考え方を理解し、様々な意見を出してくれた。その一つが、ウラカンの車体などに使われているCSMCカーボンという特殊素材を時計に使用することでした。時計業界というのはどうしても"伝統"という重しがあり、かなり閉鎖的な世界です。しかしこうやって、革新的な意見を取り入れることで、もっと自由になりたいのです」
以前から、ロジェ・デュブイは時計業界屈指の"過激な存在"だった。しかし、彼らはさらにその先へと前進していくことを望んだ。このコラボレーションの行く末は、きっと想像以上のものになるだろう。
過激の結晶 エクスカリバー アヴェンタドール S
ランボルギーニとのコラボレーションウォッチ。過激なデザインやメカニズムを時計に取り入れた。
バイマテリアルストラップ:車の内装素材として好まれる人工スウェード「アルカンターラ」を表側に使用し、裏側にはラバーを使用。華やかなカラーリングと心地よい手触りのストラップを、汗染みの心配なく使用することができるようにしている。高価な時計だが、日常使いも可能である。
キャリバーRD 103 SQ:自社製造のスケルトンムーブメント。対称形にデザインされ、歯車や動力ゼンマイなどをガッチリと固定するプレートの形状は、ランボルギーニのエンジンフードをイメージしている。使用されているパーツの点数は313個。このようなムーブメント設計は、世界初の試みだ。
C-SMCカーボン:軽くて強靭なカーボン素材を溶解し、圧力をかけて型に流し入れて生成することで生まれる特殊素材をケースに採用。繊細なディテールを持つ3本ラグも、十分な強度を確保している。カーボンの荒々しい素材感が表面に現れるため、精悍でタフな雰囲気が生まれている。
デュオトール:通常であれば時計に1個しか使用されないテンプ(バランスホイール)を2個搭載し、しかも45度傾けることで、この部分にかかる重力の影響をキャンセルさせる。二つのバランスホイールは、ディファレンシャルギアによって接続されており、テンプの動きを均等化させる。
ジュネーブ・シール:搭載するムーブメント「キャリバーRD103SQ」は、機構もデザインもかなり革新的であるが、このムーブメントを製作するための根本技術は、ジュネーブに受け継がれる伝統的な技法を使っており、さらに精度レベルも高い。その証明となるのが、ブリッジ部分に入った「ジュネーブ・シール」。公的機関のお墨付きである。
ロジェ・デュブイ エクスカリバー アヴェンタドールS
Cal.RD103SQ、パワーリザーブ約40時間、
手巻き、C-SMCケース、
ケース径45㎜、ケース厚14.05㎜、5気圧防水。
世界限定88本。2160万円(予価/2018年夏発売予定)
ロジェ・デュブイとは?
1995年に時計師ロジェ・デュブイとデザイナーのカルロス・ディアスによって創業。卓越した技術を武器に、創業10年間で28種の自社製ムーブメントを製作する。2008年からリシュモングループの傘下に収まり、更なる品質向上を実現させた。素材と構造の研究開発に力を入れており、特にスケルトンムーブメントが得意。
S.I.H.Hのロジェ・デュブイブースは、正面にアヴァンタドールのビジュアルを掲げ、コラボレーションのスタートをアピール。
文:篠田哲生 Words:Tetsuo SHINODA 写真(ポートレイト):江藤義典 Photography(Portrait):Yoshinori ETO
ロジェ・デュブイ
TEL:03-4461-8040
URL:www.rogerdubuis.com/ja/
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