マクラーレン・オレンジとフレンチ・トリコロールの新作を リシャール・ミルが立て続けに発表

その鮮やかなカラーリングの陰に隠れがちだが、リシャール・ミルの限定モデルは、ベースモデルの色を変えただけの時計ではない。 コラボレーションする相手、つまり着ける人のキャラクターに応じて、技術的挑戦を課した上で創られることを、最新の2本を例に見ていこう。

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先のジュネーヴ・モーターショーにて、マクラー レン・オートモーティブがその最高峰にあたるアル ティメットシリーズの最新作として「セナ」を発表し たのは記憶に新しい。1198kgの車重に800ps の4リッター・V8ツインターボを搭載し、75万ポ ンド(約1億2000万円)のプライスを提げた、ま さしく究極のマクラーレンは世界限定500台が生 産される予定だ。

しかもこの史上最強のロードゴー イングカーを購入したオーナーには、もうひとつ特典が用意されている。同じくジュネーヴのマクラー レン・ブースで、リシャール・ミルから発表された「RM 11-03 マクラーレン」を、優先的に購入する権利 が付与されたのだ。ちなみにセナの日本への割り当 ては33台とされる。究極のマクラーレンにふさわしい一本とすべく、 リシャール・ミルのエンジニアであるファブリス・ナ ムラ氏はマクラーレンのデザイン・ディレクター、ロブ・ メルヴィル氏と密に作業を重ねた。かくしてRM 11-03 マクラーレンはベースモデルの配色を変えてロゴを追加しただけの一本に終わらなかった。

まずケース素材にオレンジクオーツTPT®とカー ボンTPT®を織り合わせ、マクラーレンを象徴する カラーリングと同時に、軽さと耐久性を両立させた。 フライバック・クロノグラフゆえに、指先の感触の上でも視覚的にも重要なチタン製プッシャーは、 720Sのヘッドライト形状が採用される。またグレ ード5チタン製リューズの形状は、最新のマクラー レン軽量ホイールから採られ、ベゼルの12時と6 時位置に収まるロゴ入りのチタンパーツは、フロントエアインテークの形状を踏襲。ラバーストラップ表面にも、マクラーレンのスピードマークが象られている。さらに自動巻きキャリバーRMAC3の緻密なメ カニズムが、サテン仕上げのグレード5チタン製ブ リッジを通じて見え隠れする。

まさしく「手首に着けるマクラーレン」として、ベースモデルから生まれ変 わった別物であることが窺える内容だ。マクラーレン・ セナと同じ限定500ピースに、車とナンバー・マッ チングとなる1~500のシリアルナンバーが与えられ、 税込予定価格は2300万4000円となる。  

驚くことにひと月後にも、リシャール・ミルは矢継ぎ早に新たなコラボレーション・モデルを発表した。 平昌五輪のアルペンスキー複合で銀メダル、大回 転で銅メダルを獲ったフランスのスキー選手へのオ マージュ、「RM 67-02 オートマティック アレクシ・ パンチュロー」だ。RM 67-02はエクストラフラッ トをスポーツモデル化したモデルだけに、その薄さ はポールを高速でくぐり抜ける同選手の大きな武 器になる。加えて自動巻きキャリバーCRMA7の 地板とブリッジはDLCコーティングによって剛性 を高めた。またローターはプラチナからより比重の 重いホワイトゴールド製となり、巻き上げ効率を向 上が図られた。そして極めつけに、ブレスレットから クオーツTPT®ベゼル、ブリッジからリューズにか けての配色は、フランス三色旗の青白赤から採られているのだ。  

パンチュローはRM 035アルティメイト・エディ ションをはじめ、すでに数本のリシャール・ミルを 着けてきた。そんな彼のメダル獲得という特別な機会だからこそ可能になった、細やかな、そして特別なテクニカル仕様変更といえるだろう。

2.jpg1.jpgRM 11-03 AUTOMATIC FLYBACK CHRONOGRAPH McLAREN
マクラーレン・オレンジのクオーツTPT®&カーボンTPT® によるベゼル。12時と6時位置に埋め込まれたチタンパーツ も専用ディティールだ。RMAC3は可変慣性モーメントローターと2つの香箱を備 え、パワーリザーブは約55時間。グレード5チタン製のブ リッジはサテン仕上げとなる。2300万4000円(税込・予価)世界限定500本。

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RM 67-02 AUTOMATIC ALEXIS PINTURAULTRM
67-02のフランス三色旗仕様といえるパンチュロー・ モデル。自社開発の自動巻きキャリバーCRMA7を搭載す る。1501万2000円(税込・予価)超薄型キャリパーのCRMA7は、ローターにWGを採用し つつそのホイールには軽量なチタンを用い、巻上げ効率を さらに最適化している。

リシャールミルジャパン http://www.richardmille.jp/

文:南陽一浩 Words:Kazuhiro NANYO

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