美しくタフな女性だけのクラシックカーラリー


2日目はサン=テニャンから309キロを走り、スパ・リゾートであるヴィシーへと向かう。日本から参加した鈴木さん・加藤さんペアは、このようなラリーに出場するのは初めてとのこと。ルールについて不明なことがあると、ディナーの席で他のベテラン参加者に教えてもらいながら、親交と理解を深めていったという。ラリーのルールや異国の道、そして相棒のポルシェ356の運転にも慣れてくると同時に、土砂降りの雨という試練に見舞われながらも、この日の宿泊地である5つ星ホテル、ヴィシー・スパ ホテル・レ・セレスティンに到着した。

ホテル到着後には、翌日のブリーフィングが日々行われる。翌日に備えての睡眠時間を考えると、ゆっくりと食事を味わっている暇もないほど毎日慌ただしい休息時間だったそうだ。一流ホテルで過ごす夜が、昼間の運転の緊張を癒し、翌日への英気を養ってくれたことを願うばかりだ。

嵐の中を止まらずに走り続ける

5日間のラリーの中で最長距離の482キロを走る3日目。ヴィシーからトゥールーズにあるブラニャックというルートだ。ルール上ではコマ図は当日のスタート30分前にしか受け取ることができない。しかし担当者と毎日顔を合わせてお互いに仲良くなってくると、「2分前だけど、いいよ」と32分前に渡してもらえたとか。参加者とスタッフの心の距離が次第に近くなってきたことを感じるエピソードである。

スタート日の晴天が嘘のように、この日も土砂降りの豪雨に見舞われた。途中の峠道は嵐が吹き荒れ、行く手には深い水たまり。日本ではモダンなスポーツカーに乗り慣れている鈴木さんだが、前も見えなく心細い状況の中、ギアをコントロールしながら、止まらずに走り続けた。優雅なラリーだなんて、誰が言ったのか。そんな思いが頭をよぎることもあった。そんなとき心の支えになったのは、周りの人たちからの「途中でつらくなったら、リタイアしてもいいからね」という暖かいサポートの言葉だったという。

道中は豪雨に見舞われた。水たまりというより、泥沼といったほうが正しいかもしれないほど過酷な状況だ。

リアのあちこちにはねた泥が付着している。ラリーではこれも勲章のひとつ。

日本版 Vol.jpg初夏の爽やかな緑の中を走る1988年モーガン・プラス8。雨の心配さえなければオープンにしたいところだ。

4日目には国境を越え、スペインへと向かう。目的地は美食の町として有名なサン・セバスチャンだ。峠道には雲海のような深い雲。霧のかかった曲がりくねった山道を慎重に走らせること354キロ、ファン アラゴン ヒルズ ホテル & スパに到着した。

1967年オースティン・ヒーレー3000がフランス南西部のワインディングを駆ける。何とも絵になる風景だ。

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