意のままに走れる アルファロメオ初のSUV

第二次世界大戦以前から高性能車を世に送り出す自動車レース界の雄としての名声を欲しいがままにしてきたアルファロメオが、満を持して投入したSUVステルヴィオ。惜しみなく注ぎ込まれた技術と情熱の真価を軽井沢で試した。

改めての説明など無用の、イタリア北部にある世界屈指のワインディングロード、ステルヴィオ峠を由来とする車名は、決して語感の良さだけで選ばれたのではないはずだ。アルファロメオが初めて手がけるSUVにつけたこの名には、ブランドからの強いメッセージが宿っている。

試乗したファーストエディションで、何より鮮烈だったのはそのフットワークである。近づくコーナーに向けてステアリングを切り込んでいくと、ステルヴィオは着座位置の高さにも関わらずほと
んどロールすることなく、まるで平行移動するかのように速やかに向きが変わる。そしてクリッピングポイントを通過し、アクセルペダルを踏み込むと、後輪をわずかに沈めるような姿勢で背後から力強く押し出すように立ち上がっていくのだ。その操縦感覚はジュリアにも通ずる、いかにもアルファロメオらしいテイスト。あくまでも、鋭いハンドリングが追求されているのだ。

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実際にステルヴィオは、ジュリアに続いて後輪駆動及びそこから派生したAWD用として新開発されたプラットフォーム"ジョルジョ"から生み出されている。長いホイールベースに短いオーバーハング、前後ほぼ50:50の前後重量配分といった優れた素性を受け継ぎ、その上でよりワイドな前後トレッド、ジオメトリーを吟味したアルミ製サスペンション等々を採用。その果実として、ジュリアより190mm高い着座位置、200mmを確保した地上高にも関わらず、ロール角の小ささは同クラスのセダンをも凌ぐと開発陣は胸を張る。しかも、無闇にサスペンションを固めたりしていない分、快適性を犠牲としていないのも美点だ。むしろしなやかとすら評することができる乗り心地は、嬉しい驚きと言えるだろう。

この意のままに操れる感覚には、12:1というSUV としては異例のクイックなステアリングギアレシオもひと役買っているのは間違いない。通常は駆動力を100後輪に配分し、必要なときだけ瞬時に前輪も駆動する電子制御式4WDシステム「Q4」の貢献も大きいだろう。しかし、それだけではなく、まずは素性の良い基本骨格、吟味されたジオメトリーなどがあってこそ、その類まれな走りっぷりは導き出されているのだ。

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ファーストエディションのエンジンは最高出力280ps、最大トルク400Nmを発生する直列4気筒2ℓターボ。低回転域から力強いトルク特性と8速ATのきめ細かな変速によって、常に思うままの加速を引き出すことができ、しかも高回転域での伸び感も同時に兼ね備えている。これで、かつてのツインスパークのような快音を響かせてくれれば最高なのだが、そこまで求めるのはきっと酷というものなのだろう。

つい走りの話から始めてしまったが、ステルヴィオの見所はそれだけではない。スタイリングも、やはり注目すべきだ。まず視線を集めるのが、盾型のグリルとバンパー左右の大型エアインテークの配置によって、伝統のトライローブ(=三つ葉)が描かれたフロントマスクである。プロポーションも美しい。長いホイールベースに対して切り詰められたフロントオーバーハング、セットバックしたキャビンによって描き出されたフォルムには、艶やかさと力強さが見事に同居している。

あるいはデザイン、クオリティともにジュリアよりもレベルが上がったインテリアにこそ惹かれるという人も少なくないに違いない。見た目だけでなくスペースユーティリティも秀逸。長いホイールベースの恩恵で後席の居住性は想像以上だし、荷室は最大で525ℓという大容量を誇る。SUVには欠かせない快適性も機能性も、疎かにされていないのだ。

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SUVという形態を採っても、これはあくまでアルファロメオ。操る者を、そして見る者をも扇情するかのようなエモーションこそが何より重視される。敢えて与えられた峠の名は、その揺るがぬ哲学を象徴しているのである。

アルファロメオ ステルヴィオ ファーストエディション
ボディサイズ:全長4,690x全幅1,905x全高1,680mm
ホイールベース:2,820mm 車両重量:1,810kg
エンジン種類:直列4気筒16バルブ
インタークーラー付ツインスクロールターボ
総排気量:1,995cc
最大出力:206kW(280ps)/5,250rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2,250rpm
変速機:電子制御式8段オートマチック
駆動方式:4輪駆動(AWD) 乗車定員:5名
車両本体価格:6,890,000円

アルファロメオ ジャパン http://www.alfaromeo-jp.com/

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