「コンクール オブ エレガンス2018」に集う心からクラシックカーを愛する人と名車たち



賑わいのなかで

2日目からは、パブリックに公開。前日とはまったく雰囲気が異なっていた。10時オープンの時点で既に大勢の人が並んでいる。家族や友人みんなで来場し、ピクニックをしている人たちも多い。クラシックカーが好きで写真を撮りに来ているような少年や年配のゲストたちもカメラ片手に動き回り、そんな姿を見ているだけでも楽しさが増してくる。好きなものを見ている人の目は、年齢など関係なく本当に輝いている。そして、前日とは違いぎっしりと並べられた車が待つ会場に入ると、真っ先に目に映るのは、鮮やかなガルフカラーをまとった1969年 ポルシェ917K。映画『栄光のル・マン』でスティーヴ・マックイーンが実際にステアリングを握った1台だ。実際に見てみると、地を這うようなそのボディは極めて滑らかなラインを持っていることに驚かされる。日本のレーシングチームが所有し2005年JGTCに出場した、1997年マクラーレンF1 GTRロングテールの姿もあり、そのけたたましくパワフルなエンジン音で人々の注目を集めていた。

綺麗に整えられた亜麻色の砂利の上にはライトグリーンの1971年ランボルギーニP400ミウラや、真っ赤な1958年マセラティ300Sなどが息を潜んで佇んでいた。ぐるりと会場を回りながらインテリアを覗いてみると、上品なシルバーと美しい曲線美を身にまとう最後の4気筒フェラーリである500TRCの運転席の中に、消火器と、くしゃくしゃになった女性もののスエード革靴が無造作に置かれていた。というのも、この車両の持ち主は夫婦で参加していたが、主に運転を担当していたのは妻のほうであったのだ。難なくいつものことのように、小さくパワフルなフェラーリのステアリングを握るその姿はどこか儚く、強い。

深い赤のボディに目を魅かれる1949年フェラーリ166・トゥーリングのオーナーは、人ごみの中、車の傍にあるベンチに座り込み新聞を読み、まるで友達と休日を寛いでいるかのように見えた。独特な唯一無二であろう流線を描いている1 台にも目が留まる。1967 年ビッツァリーニ5300GTストラーダだ。名前の通り、フェラーリ250GTなどデザイン性で抜群の評価を得る車両のデザインも手掛けた、ジオット・ビッツァリーニが生み出した1台である。ここまでに美しいラインを持つにも関わらず、シボレー・コルベット327エンジンを搭載しているパワーの持ち主だ。

そんな名車の数々が集まる中でも、ひと際、注目を浴びている1台があった。1928年メルセデス・ベンツSタイプ・バーカー・ツアラーである。約60年ぶりにイギリス国内でパブリックな場へ姿を現していた。この車の特徴は、エアロダイナミクスとアルミ製燃料補助タンクが融合された軽量ボディだ。1928年当時、公道を走れる最速の車であったらしいが、公道でこの大きな車が走っている姿を想像すると奇妙な光景に思えた。ボディのリッチブルーは、鮮やかな孔雀の羽からインスピレーションを受けているカラーだそうだ。

見ていて驚いたものがあった。1924年アルファロメオRSタルガフローリオのボディに車両説明の紙が3枚貼られていたのが、ホームセンターでも買えるような粘着性の高い普通のガムテープで直接貼ってあったのだ。オーナーだからこそ出来る荒業であろう。コクピットには、年季の入った1924年タルガフローリオ出場プレートがあった。


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