「コンクール オブ エレガンス2018」に集う心からクラシックカーを愛する人と名車たち



最終日はツアーを楽しむ

最終日の3日目、記者は朝8時に郊外のクリヴデンハウスへ向かった。ここで、本国版『Octane』編集長と落ち合い、"Octane Tour"に参加することになっていたからだ。そこから私はマクラーレン570Sクーペのパセンジャーシートのレディとなり、ハンプトンコート宮殿までイギリスの田舎道を約2時間走行した。他の参加車はクラシックなロールス・ロイスや新型のフェラーリなどがいたが、特にトラブルもなく、みなゴールに到着することができた。この日は、日曜日であることに加え、表彰式も行われるため、会期中で最も来場者が多かった。

噴水の脇で表彰式が行われ、ベストオブショーに選ばれた1928年メルセデス・ベンツSタイプ・バーカー・ツアラーにはユニコーンがモチーフのトロフィーが授けられた。この後、このトロフィーは誰でも触れてしまう"ボートテール"の上にしばらく放置されていたことに、異国文化を感じた。 たくさんの人がいる中、じっくりとインテリアまで見たり、写真を撮るというのは容易なものではないはずだが、ゲストそれぞれの心遣いがこれまた美しい。みなが車好きの人が集まっている場だと認識しているため、写真を少し撮ろうとすれば周りの人は動きを止めてくれたり、気付かずに前を通ってしまったりした際には、過剰なほど丁寧に謝ってくれるのだ。そうした人々にも助けられ、私は"生きた車"を撮影することもできた。周りに誰もいないで置かれている車はなんだか退屈そうな顔をしているが、人々が集まって周りでその美しさなどを語り合っていると、活き活きとしてくるように見える。ましてや、汚れた自分のボディや調子が悪くなったエンジンを、オーナーが自らの手を汚しながらもメンテナンスを施してくれたりしたときなどの後は元気溌剌としているものだ。しかし、たまに期待に応えられない時があると悲しげな表情を見せる。

人間によって様々なかたちで造られてきた車という動く物は、人間に愛されることによってはじめてしっかりと息をするものなのだと実感せざるを得ないものであった。

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文、写真:星野智子(オクタン日本版編集部)
Words and Photography :Tomoko HOSHINO(Octane Japan)

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