色気とパワーがあふれるレヴァンテ・トロフェオはマセラティの傑作

写真:芳賀元昌 Photography: Gensho HAGA

世界の3大スープはご存知ですか?多少、意見が異なるかもしれないが、調べたところ、1位は中華料理のフカヒレ・スープ、2位はフランスのブイヤベース、3位はタイ王国のトムヤンクンだそうだ。さて、マセラティ・レヴァンテ・トロフェオという迫力満点の高級SUVはどれに例えたらいいのだろうか。実際に乗ってみたら、すぐにわかった。

間違いなく、タイの代表的なスープ「トムヤンクン」が思い浮かんだ。一品の中で、甘さ・酸っぱさ・苦さ・塩っぽさの4つの味がはっきりと区別でき、ひとつひとつの味が楽しめる。その色気たっぷりのSUVルックス、パワー満点のV8エンジンとしっかりしたフットワークは、美味しい!




料理の例えではいまいちイメージがつかめないという人には、俳優ではどうだろう。レヴァンテ・トロフェオは「ワイルド・スピード」シリーズや「スコーピオン・キング」でおなじみの肉体俳優のドウェイン・ジョンソンのスピード、パワーと存在感、甘いマスクに例えられるだろう。まず、ボディラインと曲面が美しい外観をノーズからテールまで目でゆっくりと舐めよう。大きなグリル、鋭いヘッドライト、ビヨンセを思わせる巨大なヒップを見るだけで、何かいい予感がする。ドアを開けて運転席に座ると、赤いヘブンに囲まれる。本革シート、センターコンソール、ダッシュボードは全部真っ赤のソフトな本革になっているけれど、ステアリングホイール
、ギアセレクター周り、GPSディスプレー周りは品良く黒に色づいている。どこを見ても、触っても、非常にリッチな雰囲気がある。
運転好きにとっては、その長くてパパパっとシフトが決まるパドルがたまらない。





でも、この1台を購入する最大の理由は、あの一流パワートレーンだ。マラネッロにあるフェラーリ工場で生産されるツインターボ付きV8エンジンはなんと590psを発揮する。フェラーリ488GTBとポルトフィーノと同様のエンジン・ブロックを採用していながら、最終的なチューニングと音作りはマセラティの開発部が担当。そのエグゾーストノートは、グレートデーン犬とライオンの吠えを足して二で割ったような音になっていて、ヤミツキになる。


 
フェラーリがロレックスだとしたら、このマセラティのエンジンはテューダーと言えるだろう。8段A/Tと組み合わせられているV8は、ゼロから100km/hまでの加速性は3.7秒、最高速が304rkm/h!最大のライバルのポルシェ・カイエン・ターボSは、トロフェオより若干速いかもしれないけれど、後者のエンジンはフェラーリ製だから“スリル度”と“笑顔度”では軍配があかる。

想像通り、このV8には津波のようなパワー感がある。車重が2トン以上あるにもかかわらず、アクセルをさりげなく踏んでいくだけで猛烈な加速感が体を運転席に激しく押さえ込む。トルクコンバーター付き8段A/TとAWDシステムがその限りのないトルクを後輪に送るのだが、必要に応じて50:50で後輪と前輪両方に直ちに送り込むこともできる。ということは、思い切りアクセルを踏んで素早い加速を要求しても、その優秀な4輪駆動システムと後輪の左右駆動力をうまく配分し、4つのタイヤに適度のトルクを分散してグリップを保つ。
 
若いゴールデン・レトリーバーに「散歩」と言えば興奮気味になるだろう。このトロフェオも、エンジンをかけて1速に入れ、アクセルを踏むとどんどん先へ行こうとする。しかし、この車は驚くようなパワーを持っているだけではない。足回りとコーナリング性がとても優秀。確かに、乗り心地は多少硬めに設定されているので、GT系SUVというより、思い切り高性能の高級SUVにはなっているが、ワインディングロードでの走りに思わず微笑んだ。こんなに大きくてこんなに重いSUVは、レースカーみたいな走りができてはいけないだろう。


 
ところで、走行モードのスイッチを長押しすると切り替わる、コルサモード、いわゆるレースモードで走っていたことを言っていなかっただろうか? コルサモードに入れると、車高がcm下がり、スロットルレスポンスが敏感になり、ステアリングと変速シフトがよりクイックに変わる。しかも、あの野獣の鳴き声のエグゾーストノートがさらにヤバくなる。でもトロフェオは、プッシュすればするほど応えてくれる。ステアリングが適度な重さで正確にターンインしてくれるし、コーナーに入っても不思議なほどロールしないし安定性がいい。また6ポットの強力で大型のブレーキがついているので、ブレーキフィールが良くて、制動力は十分と言える。


 
先に触れたように、トロフェオは大きくて重いので、サーキットでの走行会には向かないとしても、ワインディングロードの走りにはピッタリ。いや、ピッタリすぎる。というのは、サーキットでは大きすぎる感じがする代わりに、ワインディングでは小さく感じる。街中でも確かに格好良く乗れるけれど、しょっちゅう乗るなら、たまに街から出て数十分100km/hほど走らせてあげようね。かわいそうだから。何か欠点があるかと聞かれたら、それは1990万円という価格だ。でも、それは甘酸っぱい欠点だろう。


グッドウッドのヒルクライムに参加した時の著者 ピーター・ライオン。

マセラティ レヴァンテ トロフェオ
ボディサイズ:5020mm×1981mm×1698mm
ホイールベース:3004mm
車重:2170kg 駆動方式:4WD  変速機:8段AT
エンジン:3.8ℓ V8ツインターボ
排気量:3799cc
最高出力:590ps/6250rpm
最大トルク:730Nm/2500-5000rpm
車両価格:1990万円

マセラティ ジャパン https://www.maserati.com/maserati/jp/ja

文:ピーター・ライオン Words: Peter Lyon

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