試乗記|アルピーヌ A110 大切なのは軽さとバランス

アルピーヌ A110 ピュア ブラン・グランシエ

スポーツカーとしてあるべき姿を完全にトレースして設計開発されたアルピーヌA110。そのスポーツ仕様である「ピュア」をサーキットとワインディングでテスト。期待以上に清く穏やかに走る、実に気持ちのよい車であった。

このA110 、多くのひとから「とても気になる!」という声が聞こえてくる。導入限定モデル50台のプルミエールエディションは完売したが、すぐにカタログモデルの試乗会が富士スピードウェイおよびその周辺で開催された。試乗車はスポーツ仕様の「ピュア」。まずは自身がハンドルを握ってショートコースを3周、次にアルピーヌのテストドライバー、デビッド・プラッシュの同乗で、ドリフトを折り交ぜて安定性を体感することから始まる。

使い古された言葉だが、出来の良い車は走り始めた瞬間にわかる。新型アルピーヌA110は正にそういった車であった。エンジンパワーとトランスミッションの繋がり方、4輪の接地感、前後重量比や重心位置、ボディの大きさetc…、良い車にはそれらすべてのバランスが重要である。

ユニークなことに新型A110は「スポーツカーとして在るべきディメンション」をまず正確に設定して開発にあたったという。ミドシップで前後重量比は44:56 、全長4205㎜x全幅1800㎜。252psの最高出力や、重心を地上高435㎜に置いたことなど、それらすべての数値が究極のスポーツカーを作るために算盤尽くであったというわけだ。

1.8ℓ直噴ターボとはいえ252psは絶対的なハイパワーとはいえない。正確なハンドリングを実現するための4輪ダブル・ウィッシュボーンを採用した車は当然ほかにもある。そんなスペックだけの話ではなく、このA110の走りはとにかく気持ちが良いのだ。走り始めは乗り心地が良くて穏やかな印象。ちょっとしたコーナーで軽さを体感できるし、思い切りワインディングを攻めていっても太すぎないタイヤと十分過ぎるパワー、安定感のあるブレーキなど、どこをどう走っても楽しさが止まらない。もうちょっとエンジンサウンドが良ければとか、注文がまったくないわけではないけれど、ハイパワー&ハイスペックとは異なる、ベーシックなスポーツカーとしての在り方に活路を見出すあたりが、実に潔く感じられてうれしい。


ノーマルモードでゆっくりワインディングを流していても十分に気持ちが良いし、思い切り踏み込めば暴力的な加速を楽しむことが出来る。スポーツカーにとって軽さは間違いなく最大の武器である。
 

テストドライバーのデビッドは面白がってショートコースをずっとドリフトをキメながら回ってくれた。ヒラリヒラリとした走りでGが不必要に掛からない


スポーツ仕様「ピュア」のインテリア。ホールド性の高いバケットシートは1脚13.1kgと軽量なものが用意される。ラグジュアリー仕様のリネージュの雰囲気も悪くない



リア深く伸びるディフューザーは車体底面の後ろから1/3ほどを占める大型なものだ。エアロダイナミクスを大切にするのもピュアスポーツらしい。


アルピーヌ A110 ピュア ブラン・グランシエ
ボディサイズ:4205x1800x1250mm
ホイールベース:2420mm 車重:1110kg
駆動方式:MR 変速機:7段AT
エンジン型式:ABA-DFM5P型4気筒直噴ターボ
排気量:1798cc
最高出力:185kW(252ps)/6000rpm
最大トルク:320Nm/2,000rpm 本体価格:790万円

文:堀江史朗 写真:尾形和美
Words:Shiro HORIE Photorgaphy:Kazumi OGATA

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