フェラーリ、カウンタック、アストンマーチン、コルベット…スーパーカーNo.1に選ばれた車種とは?

スーパーカーNo.1は果たして



シボレー・コルベット ZR-1
ここまでに挙げた3台とシボレー・コルベットをドラッグレースコースで戦わせるなど、ガンファイターにナイフで戦いを挑むようなものである。セールスの拡大を目指すGMは、様々なマーケティング活動を行なったり、“自分たちの庭”でヨーロッパ製の競合車などと戦わせたりしているが「アメリカ唯一のスポーツカー」がヨーロッパで真剣に取り扱われたことは、残念ながらこれまで一度もなかった。


われわれの気持ちのどこかにアメリカ車を見下している部分があるのかもしれないが、いずれにせよ、彼らの“ホーム”以外でコルベットが大成功を収めたという話は聞いたことがない。リアタイヤから盛大に煙を巻き上げ、耳をつんざくような爆音を轟かせる。きっとその程度のものだと思い込んでいるのかもしれないが、ZR-1に乗れば少しは考え方が変わるだろう。実は、このモデルは様々な面でスーパーカーと呼ぶに相応しいパフォーマンスを備えている。エンジンの最高出力は375bhpと405bhpの2タイプ。しかし、マニュアル・ギアボックスを操作しながらZR-1を走らせると、その非凡な能力に度肝を抜かれるはずだ。

4世代目のコルベットは、歴史書の記述よりもはるかにいいクルマだ。グラスファイバー・ボディを支えるシャシーは侮りがたいパフォーマンスを示す。ただし、エンジンはさほどパワフルとはいえず、しかもそこに動きが遅いギアボックスが組み合わされているものだから、動力性能が傑出しているとは言いがたい。ここにキャラウェイなどのチューナーが活躍する余地が生まれたわけだが、メーカー自らが手がけたハイパフォーマンス・バージョンを求める声も少なくなかった。

当時、GM傘下にあったロータスが、そのエンジニアリング・パートナーとして選ばれることになった。ここでV6ターボを採用する案やスモール・ブロックV8の仕様違いを開発する案も検討されたが、どれも「最高の“ベット”」には相応しくないという理由で却下された。このとき、技術のトップだったトニー・ラッドのアイデアにより、4本のカムと32本のバルブを持つまったく新しいV8エンジンを開発することが決まる。さらにZF製の6段マニュアル・ギアボックスや電子制御式ダンパーなどの最先端デバイスが搭載されることとなった。発表は1989年ジュネーブ・ショーで、翌年からセールスを開始。価格は5万8995ドル(当時のレートで約840万円)だった。シェビー1台の値段としては法外に高かったが、いち早くこの“The King of theHill”を手に入れようとした者のなかにはさらに余計に支払うものが少なくなかったという。

1995年までに合計で6939台のZR-1が生産されたが、その後さらにパワフルな"ベット"が登場しても、ZR-1ほど純粋なドライビングの楽しみに溢れたモデルはなかった。通常、コルベットに"控えめ"という形容詞がつくことはないが、ZR-1であることを主張する外観上の特徴は意外なほど少なく、テールライトが丸形から四角い形状のものに改められた程度である。

インテリアはやや残念なもので、どちらかといえば安っぽいプラスチックで覆われている。けれども操作性はよく練られていて、ほとんど首を回すことなくすべてのスイッチを操作できる。面白い装備といえるのが"バレースイッチ"で、キーによって操作すると最高出力を250bhpに抑えることができる。いうまでもなく、ホテルやレストランのバレーパークで駐車係に無用なリスクを背負わせないための仕掛けである。

そして、期待どおり速い。最高速度は180mph(約288㎞/h)で、0-60mph加速は5秒を切る。それ以上に印象的なのが、途切れることなくパワーが生み出される点にある。加速感もすさまじく、シフトアップ・ポイントは通常のプッシュロッド V8では考えられない6500rpmに達する。4000rpmで早くも370lb-ft(51.2mkg)のトルクが生み出されるから、グッ
ドイヤー製タイヤの寿命は決して長くないだろう。それでいながらコーナリングは安定していて、心配されるようなプッシュ・アンダーを見せることなく、非常に落ち着き払ったマナーに終始するのである。

ケンタッキー州ボウリンググリーンで生まれたコルベットは抜群のパフォーマンスを手に入れたが、エグゾーストノートだけはやや奇妙に響く。イギリス・ノーフォークの助けも少しは借りているが、これがアメリカ流というものなのだろう。


ZR-1の5.8L V8エンジンには、ロータスの協力を得て開発された32バルブ・ヘッドが組み合わされている。


デビューから20年を経ても新鮮さを失わないウェッジの強いスタイリング



このドアの魅力に抗うことができるのか?それともフェラーリ・イズムが貫かれたF40か?一点ものに近いアストンの輝き、それにベット"の磨き抜かれたパフォーマンスも捨てがたい……

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