伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナの非凡な才能が理解できる5つのレース

アイルトン・セナ、1994年シーズン開幕時の写真。ウィリアムズに移籍したセナはさまざまな思いを抱えていた



3 "肉体から抜け出した"予選ラップ
1988年5月15日/モナコGP(モンテカルロ) マクラーレン・ホンダMP4/4
フリー走行が始まった瞬間からセナの速さは別次元だった。マクラーレンに移籍して最初のモナコGPで、チームメートのアラン・プロストに対して時には2秒も速かったのだ。だが、予選でも似たような差がつくと想像した者はひとりもいなかったから、セナが予選で1分23秒998をたたき出したときには、その場に衝撃が走った。

これはキャリアの中でも特に語られてセナは、自分の肉体を抜け出したようなスピリチュアルな経験をしたと語っている。限界を超えたドライビングに、「自分でも恐ろしくなった」と。

そして迎えた決勝。セナは後続を1周あたり1秒近く引き離して、前半で独走態勢を築く。ところが残り12周というところで、海側へ出るポルティエの入り口で内側のバリアに接触。はじかれたセナのマクラーレンはコース反対側に突っ込んでしまう。

このミスはセナのキャリアでも特に有名なエピソードだ。起きたことが飲み込めず、このことがもたらす結果を見ていられなかったセナは、近くにあった自身のアパートに直接戻ると、何時間も連絡を絶った。優勝したのはプロストだった。

マクラーレンのコーディネーターだったジョー・ラミレスがようやくセナと電話で話したのは夜9時だったが、まだ泣いていたという。

「彼がミスをするのはよくあることではないが、自分にひどく腹を立てるので、ロン(デニス)でさえ彼をしかることなど不可能だったし、しようとも思わなかった。自分でよく分かっていたんだ」


1988年モナコGPでポルティエのガードレールに突っ込んだセナのマクラーレン・ホンダ。激しく動揺したセナはその場から立ち去り、近くにあった自分のアパートに帰ってしまった

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