フェルッチオ・ランボルギーニが愛したクラシックボート|リーヴァ・アクアラマ

Photography: Maurice Volmeyer and Riva-World



節のない完璧な1枚板から
1969年、フェルッチオがこのリーヴァを自ら操縦し、ポーラ・チェルヴィア・ウォータースキー・レースに参戦している(ナビゲーターとして、イタリアのスーパースターでボクサーのニノ・ベンベヌチも乗船した)ところを見ると、V12エンジンの出力とトルクの伝達は改善されていたのだろう。彼は1970年にもこのレースに出ているが、その後次第に参戦の頻度が減り、ついに1989年、2台のエンジンを取り外し、リーヴァのV8エンジンを再度取り付けたハル(舟艇)は売却された。驚くことに2010年にこのボートが発見された時、中からフェルッチオによってサインされた所有権譲渡の契約書も見つかっている。

放置されてからおよそ20年以上の時間が過ぎ、リーヴァはかなりひどい状態だったとサンドロ・ジーニは言う。「だがボートにはオリジナルのパーツがすべて揃っていた。でも何十年も海風にさらされたことによって、かなりのダメージを受けていたんだ。木製ボートの問題は、塗料ではなくニスを塗って仕上げているから、どんなダメージも隠すことができないことだ。」

アクアラマのハルは3層のマホガニーで構成されていて、2枚は Xの形に斜めに交差され、3枚目はバウ(船首)からスターン(船尾)まで水平に配置されていた。これは6ミリの厚さのマホガニーのベニヤ、それも長さ9メートル、節のない完璧な一枚板で作られている。簡単に手に入る材料ではないことは明らかである。板は形を整えるためにプレスされ、糊付けされて、青銅のネジで固定されていたが、斜めに交差した2枚のジョイントから海水が浸透して黒い染みができてしまっていた。染み抜き剤を使用することもできるが、その染みは必ずまた浮き上がってくる。「ボートに使われていた木の何枚かはまだかなりいい状態だったが、外皮は指で剥がせるくらい、かなり傷んでいた。リアにあるフューエルタンク上のデッキフレームも水によって傷んでいた。そこでキールを交換することにしたのさ。木はアフリカから自分たちで取り寄せたが、1960年代に使用されたものと全く同じタイプを見つけることは難しいこともある。リーヴァですら、途中で仕様を変えざるを得なかったくらいだからね。」

続いてサンドロは、リーヴァに使用される木の種類について話しだした。「ハル、キール、フレーム、シート、デッキと、広範囲に渡ってマホガニーが使用されている。それから水位線から下のボトムパネルには、マホガニーを9枚張り合わせた合板。コックピットエリアには、セイヨウトネリコとヒマラヤスギ、デッキ下のサポートブロックにはモミの木、シートやデッキの曲線的なコーナーのように曲げが必要な部分はブナ材を使用している。」

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編集翻訳:堀江 史朗 Transcreation: Shiro HORIE 原文翻訳:渡辺 千香子(CK Transcreations Ltd.)Translation: Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.) Words: Mark Dixon 

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