渋滞の原因は真っ赤なポルシェ944│さっきまで走っていた車に一体なにが起きた?

Photography: Glen Waddington

これは、2018年2月9日のことであった。子供の学校が休みに入るため、冬の陽ざしを求めてスペインへと飛び立った前日のことだったのだ。

いつものようにランチタイムスイムのために944を走らせて、オフィスまで戻ろうとしていた。この時点で、944におかしなことは何も無かったのだ。ボンネットが変な熱を持っていたわけでもなかったし、目に見える配線異常もなかった。タンクに満タンの燃料があっただけだ。キーを回して944に息をさせようとすると、なぜだろうか、何度試してみてもエンジンが付かないのである。

冷える冬空の下で修理サービスが来るのを待った。といってもただ待っていただけだ。携帯のバッテリーが切れていたため、連絡できなかったのだ。90分後、黄色いバンがやってきてラッキーと思ったら、ただ通り過ぎて行った。運転手は赤いポルシェが交通渋滞を巻き起こしているのを見て、何を思ったのだろう。幸いにも、近くの牧場主が停まって電話を貸してくれたのだ。助けを求めるのと、"停まっています"のサインを出すのに全力をかけているモータリストが私だ。944を避けるために、オフロードを走ろうとした挑戦的な運転手すらいた。



そこに、修理サービスがやってきた。しかし、何も異常は見つからなかったのだ。そこで、信頼しているスポーツカースペシャリストであるスチュアートのもとに連れて行ってもらうように頼んだ。
"クランクセンサーのせいだね。君がスペインから戻ってくる頃には直っているよ"と言われたが、問題はそれだけではなかった。クランクセンサーを取り換えてみてもダメだったのだ。ECUの問題であることを発見し、ボッシュに依頼したがダメージは大きすぎていた。"何か燃えているにおいがしなかった?"とスチュアートに聞かれて驚いてしまった。炎上する寸前だったのかと。

少しづつ、修理を加えていきECUも取り換え、944は息を吹き返し始めた。スチュアートの妻に"こんなにガッツのある車見たことないわ"と言われたほどだ。

フューズボックスを換え、スイッチも換え(イグニッションとライトは完全に燃えていた)、すべての電気系統も交換し終えて944は完全にその走りを取り戻したのだ。しばらくの間、新しいクランクセンサーは必要なさそうだ。






Words: Glen Waddington  訳:オクタン日本版編集部

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