旧車の梁山泊。イギリス王立空軍基地跡に出現したクラシックカー・バイク職人達の村

Photography:Matt Howell



最後はいよいよ巨大な格納庫2棟をチェックする。これらは1926年に爆撃機格納庫として建造された幅37m×長さ76mのタイプA格納庫で、とても広大だが1936年に追加された2棟のタイプC(幅46×91.5m)ほど広大ではない。ここはチャーリー・モーガンとアンドリュー・ファーガソンが運営するヒストリット社がクラシックカー保管のために使用中で、一度に500台までを収容できる。

3m厚(!)のコンクリート床はオリジナル。爆風に耐えるために建造された壁や、帰投したばかりの爆撃機のエンジン熱を放射させるように設計された大屋根。クラシックカーやバイク、軍用車両、レーストランスポーター等の保管にはまったく素晴らしい環境である。温度と湿度は天候にかかわらず安定に保たれ、月額わずか110ポンドの料金でエンジンは月に一度始動されて車は飛行場周辺の道路で慣らし運転される。

シルバーストーン(こちらも元RAF基地)の展開と似ていることは将来の計画のヒントになる。「2棟のタイプC格納庫を連結して大きな中庭を設け、常設展示スペースおよびディーラーエリアを作る」とはダン氏。

「顧客は公道上で危険を犯す事なく周回路でも十分に試乗ができる」それはなかなかよい思いつきだと思ったが、オフィスに戻って見ると既に建築模型ができている。彼らは中庭の使い方に関しては、どうやら本気のようだ。

「リンクトレーナー(初期のフライトシミュレーター)のビルをレースシミュレーター会社に貸すのは感心しない。だが潤滑剤(クラシックオイル用品)の店は絶対に必要だ。またハックススターター(フォード・モデルT等のエンジンを使った航空機エンジン始動車)を最低1台は入れる小屋も要るだろう」ダンには課題がまだあるようだ。

有望株
誰もが感じているように、我々も最初はすべて絵に描いた餅かもしれないと心配していた。だが、現在のビスター・ヘリテージのメンバー全員のプロフィールを確認してみると実に安心できる。彼らのほとんどがヒストリックな車やバイク、そして飛行機などのエンスージアストであるからだ。しかも全員が重要な企業プロジェクト、不動産開発、ベンチャーキャピタルおよび自然環境遺産事業において長年の経験を有している。10社が既に敷地内で活動を開始しており、更にもう10社が契約を完了し2015年1月までに移転する。上水道の施設、サイト全域をカバーするWi-Fiの敷設も既に完了している。

我々が取材した一週間後にはここで航空機のオークションが開催され、国会の超党派議員によるヒストリックカークラブがラリーコースに設定するなど、さらに多くのイベントが計画されることになる。

我々Octaneは、今後も目を離すことができなさそうだ。そして確実に言えることは、一件無謀に見えたビスター・ヘリテージは、実は非常に有望であったということだ。いや、そう断言したい!



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編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA Words:David Lillywhite

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