ジャガーの新しい出発点 "カー・ゼロ"|新型ライトウェイトへの挑戦

"カー・ゼロ"



アッセンブル
1963年当時と同じく、ライトウェイトのボディはリベットで組み立てられる。もちろん溶接も使われたが、ほとんどはリベット留めが主流だ。RSパネルズ社が"カー・ゼロ"を組み立てている時にジャガーのエンジニアが現場に入って独自の図面を起こし、工作機械を造るため、車両の内・外部のすべての表面をスキャンした。工作機械はウイットリーのエンジニアリングセンターで組み立てられる。スキャニングは100分の1ミリの正確さだが、車両の左右は基本的に対称なので、車体の半分のみをスキャンし、それを反転する方法がとられた。そのコンピューター図面のフルセットを武器に、ジャガーは新型ライトウェイトのパーツの75%を自製する。「"カー・ゼロ"のボンネットはRSパネルズ社が造ったが、我々は1960年代に手掛けたシリーズ1のボンネット用プレス型を発見した。プロダクションモデルの方はこの時代物のオリジナルプレス型を使ったボンネットが装着されることになるだろう」とマーティンが付け加えた。

ボディシェル
新型ライトウェイトのプロダクションモデルの組み立ては以下のような手順で進む。モノコックボディはウイットリーのエンジニアリングセンターでリベットと溶接で組み立てられた後、ドアの"チリ"やボンネットのフィッティングなどをチェックするため、ブラウンズレーンに移される。次にゲイドンに送られてコンセプトカーやショーカー用のブースで塗装された後、仕上げが施される。そして再びブラウンズレーンに戻り、ランニングギアが積まれ、電気系統、内装、その他が取り付けられて完成車となる。これではどう見ても量産車とは呼べないだろう。

"カー・ゼロ"のシルバーのペイントはまさにイメージ通りにマッチしてはいるが、この美しいアルミボディを未塗装のままにしておきたいという誘惑があったはずだ。

「それは我々も考えた」とマーティンは認めた。「その案は採用にはいたらなかったものの、我々はエンジンルームとトランク内部はアルミ構造を強調するため未塗装のまま残し、イアン・カラムからはコクピットも未塗装にしておくように指示があった。これは我々にとってはタイムスケールの観点から大変ありがたいことだった」

外装色と内装の提案は、ジャガー・マークIIを所有するクラシックカー愛好家である、ジャガー社のデザインダイレクターが担当した。カーマインレッド、オパールセント・グレーメタリック、シルバーメタリック、オパールセント・ブルーメタリック、オールドイングリッシュホワイトと、お約束のブリティッシュレーシンググリーンの6色だ。ただ実際には、必要な額の小切手を自由に切ることさえ可能ならばどんな色もオーダーできる。

「顧客はイアンと一緒にお茶でも飲みながらゆっくりと希望色について相談すればいい。我々はできる限りのことをするよ。極端に派手なオレンジ色などというご希望が来たら、少し考えさせてもらうかも知れんがね」とマーティンはいう。

同様に内装にも選択肢がある。"カー・ゼロ"のコクピットは意図的に地味にしつらえられていて、バケットシートの濃紺レザーはダッシュトップの黒革と微妙な対照を成す。使用される革は、かつてジャガーの内装の革をすべて供給していたコノリーブラザースのジョナサン・コノリーの新会社から1960年代と同様のスペックで提供される。レースでの使用を前提としているのなら、ソフトな内装は重量を増加させ、その他の面倒も生じさせるのであまり意味がないが、色調など顧客のほとんどの要求には対応できる。トランスミッショントンネルのカバーや、ドアの内張、ハードトップのライニング、取り外し可能なフロアマットなどにはオプションでサドルレザー製が用意される。もうひとつの特徴的な標準仕様は、コヴェントリー近郊ディベントリーのカスタムケージ社が供給するロールケージだ。34ページの写真はパウダーコート仕上げの黒になる前のブルーペイントの状態で、クラッシュには弱いアルミ製のハードトップを内側から支えている構造がよくわかる。また、オプションで前面部分にもケージを延長できるようマウントが用意されている。ケージは単に見た目だけの物ではない。ヒストリックレース参加の際にはマストな装備だ。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA  Words: Mark Dixon Photography: John Wycherley, Nick Dimbleby

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