名匠ジオット・ビッザリーニによる、もうひとつの"250GTO"|イソ・グリフォA3/C

Photography:Gus Gregory



この車で公道を走るときは
カンパニョーロのアルミホイールに座って眺めると、ビッザリーニは幅広く、長く、デザインは個人的見解だがフェラーリ250GTOよりも割り切りがよいように感じた。より挑戦的ではあるものの、同時に美しさも感じさせるウィンドスクリーンの形状はその最たるもの。加えてダクトの類いも印象的である。おまけに、イタリアのアウトストラーダを高速でテスト走行する車であることを示す"PROVA LI 89"のライセンスプレートも、見る者に凄みを与える一因となっている。

この車の歴史を語るに欠かせないひとつのポイントは、チャールトン・ヘストンが主演した映画『ベン・ハー』にも出演したアメリカの俳優、レミントン・オルムステッドの要望で公道を走れるように手を加えられたことである。オルムステッドは俳優業の傍らローマでレストラン・ビジネスも営んでおり、そこに来るときにロードカーとして元ワークスのA3/Cでドライブを楽しんでいたらしい。それはエキサイティングな日々だったことだろう。現オーナーであるブルース・メイヤーは故郷カリフォルニアへ向けて"0222"を船積みしようとしており、日常の楽しい足として実用に供しようと思っているそうだ。私も今回ドライブさせてもらったが、それは楽しく、バランスのよい、しかしときに燃えたぎるような熱い走りを味わわせてくれる車であることは確信が持てた。ただし、A3/Cを公道で存分に楽しもうというのなら、ひとつだけアドバイスしておきたいことがある。カリフォルニアの白バイがノイズメーターを装備するまでの話だと。



1965年イソ・グリフォA3/C
エンジン形式:シボレー製、5359cc、V8、

OHV、ウェバー50DCOSPキャブレター×4基最高出力:450bhp/6000rpm
最大トルク:48.0kgm/4000rpm変速機:4段MT、後輪駆動ステアリング:ブルマン製ボール循環式

サスペンション(前/後とも):ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、テレスコピックダンパー
ブレーキ:4輪ディスク(リアはインボードマウント)重量:1300kg
性能:最高速約304km/h(190mph)、0-60mph(0-96km/h)約5秒

編集翻訳:尾澤英彦 Transcreation:Hidehiko OZAWA Words:Robert Coucher 

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