なぜ「フォードGT40」は伝説のレーシングカーと呼ばれるのか?その秘密を探る

Photography:John S Allen,Ford,LAT



ル・マン・テストデイ
最初のフォードGTがベールを脱いだのは1964年4月1日のエイプリルフールだった。風洞実験とコンピューターを利用して設計された車は、空気抵抗は小さかったものの揚力が大きく、ル・マンのテストデイに参加した最初の2台は、ミュルサンヌ・ストレートでの高速安定性に問題を抱えていた。ウェットコンディションだったこともあって2台ともにアクシデントでダメージを受け、うち1台は全損となってしまった。フロント部のデザインはこのテストデイまでに変更されており、その後も改良が重ねられるが、満足できる結果はなかなか得られなかった。リフトを抑えるために後にボディ全幅に及ぶテールスポイラーが加えられた。



ニュルブルクリンク1000km
フォードGTの初めての本格的なレース走行は1964年5月31日に開催されたニュルブルクリンク1000kmレースだった。3週間後に迫ったル・マンに向けて、またもノーズのデザインを改め、リアスポイラーが加えられた1台だけのGTは、フィル・ヒルとブルース・マクラーレンに委ねられ、フェラーリ275Pを脅かすまでには至らなかったものの、十分な速さを見せた。しかしながらリアサスペンションのサブフレームが破損してリタイアを余儀なくされた。レース後の分析の結果、車体の溶接にいくつかの弱点が発見されたという。その経験を得ただけでも出場した甲斐はあったということになる。





ル・マン初出場
フォードGTにとって初めてのル・マンは、3台出場して3台ともリタイアという惨めな結果に終わる。そのうちの2台はコロッティ製ギヤボックスが原因だった。イタリア製のこれ以外に手に入るものが事実上なく、255エンジンのトルクにも耐えられるとして採用されたものだったが、見込みは外れた。もう1台、カーナンバー12は燃料ラインが溶けて漏れたガソリンに火がついた。偶然そこに居合わせたカメラマンがその場面を撮影、燃え上がる車の実際のカラー映像は"ワイルドレーサーズ"というお粗末な映画に使用されている。



編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:John S Allen

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