あえて固形ワックスを使うという静かで重厚な時間を大切にしたい

シリーズ:ビューティフルカーライフ vol.1
奥村純一( フォトグラファー)

人は、どのような想いを胸に日々のカーケアを行っているのだろうか? 自動車収集家としても有名なフォトグラファー、奥村純一さんに聞いた。

Car_Gear_170528_ShurLuster (1).jpg

ガレージには今、この63年式モーリス1100のほかに31年式のオースティン セブンや68年式アルファロメオ1600GTベローチェなど、なんだかんだで13台ほどを置いています。そう言うとまるで金満家のコレクターみたいですが、残念ながらそういった事実はいっさいなく(笑)、なんと言いますか、"見捨てられた車"を見ると放っておけなくなるだけなんです。

例えば68年式アルファ1600GTベローチェですが、これは決して見捨てられていたわけではないですが、ご高齢の方が所有されていて、しかし年齢の関係で運転できないまま9年が経ってしまった。それを比較的安価に譲っていただいたものです。ただしそのままでは動きませんので、今はコツコツと直している最中です。

動物に関しても同じですね。僕はアメリカン・ピット・ブル・テリアという希少犬種を飼っているため"犬好き" と思われているみたいですが、実際は犬好きというよりは"動物好き" なんです。その犬も、施設で保護されていたところを、どうしても放っておくことができなくて引き取ったんです。今ではその犬(名前はエリザベスといいます)とは大の仲良しで、手放すつもりなど毛頭ありませんが、世の中には保護犬を飼ってみることにしたのはいいけど、結局飼いきれなくて、再びリリース......みたいなケースも残念ながらあるんです。ですから動物の保護活動というのも、安易な気持ちでやってほしくないなとは思っています。

Car_Gear_170528_ShurLuster (2).jpg

車に関しても、僕は決してコレクターではないので、場合によっては他の方にお譲りすることもあるんですよ。ただ、お譲りするのは「その車を僕以上に大切にしてくれそうな人」に限ります。やはり大好きな車が、それも貴重な歴史を背負っている車が朽ち果ててしまうのは、悲しくも不幸なことですからね......。

洗車やワックスがけは頻繁に行ってますよ。「3回ぐらい雨の日に乗ったから、そろそろまたワックスかけようかな」みたいに。正直、その作業が好きかと聞かれればそんなこともないのですが(笑)、やはり自分の車が汚れているのは許せないし、水を弾かない車に乗るのは恥ずかしい気がするんですよね。ここ最近は、簡易なスプレー式のガラスコート剤というんでしょうか、あれをいただいたので、それで済ませることもあります。簡単で便利で、決して悪くないですよね。

Car_Gear_170528_ShurLuster (3).jpg

でもやっぱり、良質な固形ワックスをしっかりとかけ、そして拭き上げていく......という一連のアナログな流れというか、重厚で静かな時の流れと、インスタントな何かの間には、「越えられない壁」があるような気がしてなりません。単純な話としてはやはり仕上がりが違いますし、僕自身の心持ちも全然違う。例えばティーバッグでもお茶はお茶ですが、僕の場合はちゃんとしたお茶をいただきたい―と、そのように思っています。

Car_Gear_170528_ShurLuster (5).jpgCar_Gear_170528_ShurLuster (4).jpg

Car_Gear_170528_ShurLuster (6).jpg

奥村純一
横浜市出身。20代で購入した、いわゆるカニ目を皮切りに旧車に傾倒。現在は64年式フォード・アングリアなど約15台を所有し、ヒストリックカーレースにも参戦中。

Car_Gear_170528_ShurLuster (7).jpg

深みの艶を造り出す高品質なカルナバ蝋を使用

今回使用したのはシュアラスター マンハッタンゴールドワックス。最上級カルナバ蝋をふんだんに使った究極のワックスだ。艶を出すため不純物を可能な限り取り除き、1号とコスメティックグレードのみを使用している。
http://www.surluster.jp

文:谷津正行 Words: Masayuki TANITSU
写真:奥村純一 Photography: Junichi OKUMURA

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RANKING人気の記事