ミウラ vs デイトナ|世紀のスーパーカー対決「ランボルギーニ vs フェラーリ」第1ラウンド

ミウラ vs デイトナ

フェラーリの牙城に勇猛果敢に挑戦していったランボルギーニ。オクタンはフェラーリとランボルギーニの代表的な4台のモデルを路上に引き出し、スーパーカー頂上対決2番勝負を試みた。

ひとつめの勝負は、
MIURA VS DAYTONA。ミウラの投入によって"スーパーカー"の方程式を確立させただけでなく、ランボルギーニ社は自動車メーカーとしての名声も得た。しかし、果たしてミウラはフェラーリ365GTB/4デイトナに勝る車だったのだろうか。

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目の前に広がる道はアップダウンとワインディングが折り重なり、まるでジェットコースターの軌道のようだ。鼓動の高まりを抑えられないのは、運転を楽しめそうな道があるだけでなく、元祖スーパーカーのステアリングを握れることになっていたからだ。ランボルギーニ・ミウラP400Sのオーナーからキーを預かった際、ひとこと…、「楽しんでください」といわれたからだ。寛大な計らいに感謝するとともに、遠慮なく楽しんでみることにした。

私が個人的に世界で最も美しいスーパーカーだと信じているミウラの総生産台数は800台未満で、そのうち約3割しか現存していないといわれている。希少価値もさることながら当時、世界最高峰のスーパーカーとして開発・生産された車を運転させてもらうことになって、楽しめないはずがない。

ランボルギーニ創業者、フェルッチオ・ランボルギーニはトラック、トラクター、ボイラー、エアコンなどの事業で成功し、フェラーリ・オーナーだった。そんな彼が次に目をつけたビジネスがスーパーカー事業だった。打倒フェラーリを掲げたのは事実だが、エンツォ・フェラーリとフェルッチオの間は緊張感ある友好的なライバル関係にあり、いがみ合っていたわけではない。

フェルッチオが最初に世に送り出した車は、味わい深いフロントマスクが印象的な350GTだった。この時点でフェラーリのどの市販車をも凌駕する高性能ぶりが話題となったが、独特なデザインはデビュー時に万人受けしたわけではない。とはいえ、これがスタートに過ぎないことはフェルッチオも理解していたと思う。

フェルッチオにもツキがあった。それは保守的なフェラーリに対して後発のランボルギーニが掲げた先進性が功を奏したことであった。

エンツォ・フェラーリのロードカー造りへの哲学は、過去の成功体験に基づいた"保守的"なものであった。250GTOや275GTB/4などで成功したV12フロントエンジン/リアドライブのレイアウトを踏襲し続け、成功を収めていた。こうしたフェラーリに対してフェルッチオが投入したミドシップ・ロードカーは、ランボルギーニの技術的優位を示す絶好のチャンスとなり、注目を浴びるようになった。

だが、当時、レーシングマシン以外でミドシップを採用した例は極めて少なく、ポテンシャルが未知数というリスキーな取り組みだった。また、果たしてフェラーリと同等のパフォーマンスを実現できるのか、レーシングマシンのようなコンセプトが富裕層に受け入れられるのかという疑問もあった。

1965年11月、トリノ・オートショーでまずお披露目されたのは、ランニングシャシーのみで、この時は"ミウラ"という名称すら決まっていなかった。だが、ミドシップにV型12気筒DOHCエンジンを横置きするという、ほぼ前代未聞のコンセプトが会場を訪れた人の関心を引いた。そして1966年3月、ジュネーヴ・モーターショーで流麗なボディを纏ったミウラが登場した。

ミウラのボディはカロッツェリア・ベルトーネに委ねられ、チーフデザイナーの座にあったマルチェロ・ガンディーニによって具現化された。流麗なボディは全幅1780mm、全高1080mmという"ワイド&ロー"デザインを採用した。富裕層からのオーダーは早くもモーターショーの会場で殺到し、ランボルギーニ社は新参者ではなく、一気に名門の仲間入りを果たした。ミウラの登場は世界を震撼させ、ライバルメーカーたちもミドシップ・ロードカーを考慮しなければならなくなった。

だが、ミウラの販売は時期尚早だった。なかでも空力処理の問題から270km/h超でリフトするという話題が、瞬く間に世界中を駆け巡った。完全無欠ではなかったとはいえ、スーパーカーの幕開けであったことには違いない。

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編集翻訳:古賀 貴司 Transcreation:Takashi KOGA Words:Keith Adams Photography:Matthew Howell

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