THE MINI STORY & my mini story|Jack Yamaguchi’s AUTO SPEAK Vol.5

THE MINI STORY

THE MINI STORY
1959年8月26日、ロンドン・ヒースロー空港西方にあるチョーバム・テストコースにおいて、1台の小型車のメディア発表・試乗会が開催された。1997年に英国の『AUTOCAR』誌によって"ザ・カー・オブ・ザ・センチュリー"に選ばれた画期的な車、ブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)の双子車で、モーリス名は"ミニ・マイナー"、オースティンが"Se7en(セヴンと読む)"であった。英民族系大メーカー、BMC社の開発記号ADO15で、のちに愛称"ミニ"を正式名とする。

それから41年後、 2000年10月4日、最後のミニが英中部のローバー社ロングブリッジ工場組立ラインを離れた。すでに"MINI"なるブランドはBMWの所有になっていたが、ローバーを手放したBMWは、自社開発の新型"MINI"を発表する前年までは"クラシック・ミニ"生産継続を許していた。

41年間のADO15系(ADO20、35などを含む)の累計生産台数は、約539万台であった。基本単一設計モデルとしては41年の長命を保った。最長命、最多となると、第二次世界大戦前のKdFから始まり、2003年メキシコで生産が終了したVWタイプ1、愛称"ビートル"がそれで、2159万台のカブト虫が生まれた。フォードのモデルTは、1908年から1927年まで約1469万台が生産された。

私が選考員を務めた1999年の"カー・オブ・ザ・センチュリー"では、モデルTが1位、ミニが2位、シトロエンDSが3位、ビートルが4位であった。一方、1997年に英国の『AUTOCAR』誌がセンチュリーカーにミニを選択したのは理解できる。

さて、2014年11月27日、ミュンヘンのBMWミュージアムにおいて、特別ゲスト展『 THE MINI STOR』が開幕した。2016年1月31日までの1年2カ月間のイベントだ。

英国自動車産業は、栄枯盛衰の道をたどった。民族系量産メーカーが大同団結したBMCからBLMC、BL、ローバーへ、民営、国有、ふたたび民営、一時期ホンダとの提携、そしてドイツBMWへ、そして分割の道をたどった。ジャガーとランドローバーはフォード傘下入るが、今はインド・タタ資本下にある。BMWが旧ロ−バーから引き継いだのはMINIブランドのみであった。

ミュージアム学芸部長、アンドレアス・ブラウン博士は語った。「伝統あるブランドの再興のためには、最初の数年は新型車訴求に全力を注ぎ込まねばならなかったのです。ブランドとして確立した今、1950年代に遡る歴史を語ることができるようになりました」

BMW直轄のR50ミニの発売は2001年、以来14年間にわたってモデルチェンジ、車種追加を経て、世界累計販売台数は300万台を超えている。

THE MINI STORY会場は、ミュージアムの"サラダ鉢"なるニックネームのユニークな筒形建物内の螺旋回廊を巡る複数階で、階ごとにテーマを追う。ここに、32台のクラシック(ローバー期まで)と新世代ミニ、そして多くのメモラビリアが飾られた。ブラウン博士は、友好関係にある英国ヘリテージ・モーター・センター(BHMC)の協力を讃える。BL直轄からはじまり、BMW、フォードと親会社が変わってきたBHMCだが、現在は財団経営であり、「車と資料には、きちんと借用料を払います。彼らの収入源ですから」とブラウン博士。

クラシック・ミニの1号車、1967年モンテカルロ・ラリー優勝車のNo.177、カットモデルがBHMCからの貸与とのことだ。ミニ関連、時代モノ、写真などメモラビリアの多くがイギリスから来ている。

BMWミュージアムは、ブランドを問わず実車は所有せず、すべてBMWクラシック・センターなる一般公開はしていない大コレクション部門の所有になる。レストア、レーシングカーショップを含む4階建のクラシックは、すでに複数のクラシック・ミニ、そして同じく傘下のロールス・ロイスを所有している。そこでは、スーパーモデルでデザイナーのケイト・モス、タイムマシーン・ミニなど、文字通りコレクターズアイテムを見た。

レーシングはミニの血統。クラシック・ミニは、1960年代モンテカルロ・ラリーに3度総合優勝している。66年もアールトーネン、ホプカークが1-2フィニッシュしたが、フランスの主催クラブにより失格とされる。当時のジョージ・ハリマンBMC社長は、「その方がいいよ。話題になるからね。誰もが1-2フィニッシュした事実を知っているのだ」と達観した。そして、新世代ミニは、ダカール・ラリー連勝の猛者、いや猛車だ。

Kyoichi Jack Yamaguchi

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