アブダビの地でEV車アウディe-tronを試乗│そのすべてを暴く

2018年9月に世界初公開されたアウディ初の量産電気自動車(EV)が「e-tron」だ。日本へは2019年年央の導入が予定されているが、ひと足先に試乗する機会を得た。

電動化を突き進めるフォルクスワーゲングループにおいて、プレミアムEVの急先鋒に立つのが、アウディe-tronだ。アウディは2025年までに全世界の主要な市場において12のEVを発売、年間300万台のEVを販売し、電動化モデルの販売台数を全体の約1/3にすることを目指している。すでにこのe-tronに続いて、2019年中にはAudi e-tronSportbackなどをデビューさせることもアナウンスしている。e-tronの試乗の場に選ばれたのは、アラブ首長国連邦の首都アブダビだった。産油国でEVに乗るなんてなんだか皮肉っぽい演出だなと思っていたが、試乗の出発地、マスダールシティに到着するとその意図が明らかになった。



アブダビ国際空港からクルマで数分のところにあるマスダールシティは、2006年より砂漠のど真ん中に建設が進むスマートシティだ。人口は約5万人を想定し、太陽光や熱、風力など自然エネルギーを活用してサスティナブルな都市を作る計画で最終的には2020~2025年の完成を予定する。シティ内では内燃エンジンをもつ自動車の使用は認められておらず、小型モビリティとして自動運転EVなどの運用がすでに始まっている。e-tronにはうってつけの場所というわけだ。

e-tronのボディサイズは全長4.9m、全幅1.94m、全高1.62m、ホイールベース2.93mと、全長全幅はちょうどアウディのSUVであるQ5とQ7のあいだで、全高はQ5よりも約40mm低い。前後アクスルに1基づつ、計2つのモーターを搭載して四輪を駆動する。システム出力は通常時は合計265kW、ブーストモード時には最大300kWを発揮する。最大トルクは通常時は561Nmで、ブーストモード時は664Nmとなり0〜100km/h加速は5.7秒。バッテリー容量は95kWhで、100kWhのテスラモデルSやXとほぼ同等の数値だ。



そして一充電航続可能距離は400km以上(WLTPドライビングモード)という。e-tronのプロダクトマーケティング担当者に、なぜアウディは初のEVにSUVを選んだのかを尋ねてみた。「最初の電動モデルとしては、ボリュームが重要でした。世界中で人気があって、とくに欧州や中国で成長の可能性があるSUVを選びました」と答えた。続けてテスラがリードしているプレミアムEV市場において、アウディらしさとは何かという問いに対しては「アウディならではのデザイン、クワトロをはじめとする技術、本格的なSUVとしての走行性能、大人4〜5人が快適にすごせる居住空間に、航続可能距離は400km以上あって、日常での使いやすさは他とは一線を画すものです」と胸を張る。

エクステリアではプラチナグレーのフレームをもつシングルフレームグリルや、ヘッドライトの下側に配された4本の水平なデイタイムランニングライトがEV専用のデザインだ。インテリアは高精細液晶のバーチャルコクピットや、センターコンソールにドライバー側にオフセットして配置された上下2段の大型ディスプレイなど、最新のアウディデザインの流れを汲んだものだ。



文:藤野太一 Words: Taichi FUJINO

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