国有化されたアルファ・ロメオの窮地を救った「ジュリエッタ・ファミリー」

ジュリエッタ・ファミリー



ジュリエッタ・ファミリーを堪能する
アルファロメオも大きな成功を収めた。ベルリーナは1955年のトリノ・ショーで発表され、数カ月後には、ピリンファリーナが手掛けたスパイダーが続いた。スプリントとスパイダーは、アルファロメオの想像を超える人気となり、 3モデルすべて、大きな成功を遂げることとなった。ジュリエッタ・シリーズはこの3モデルに留まらない。1957年にはザガート製の軽量クーペと、優美なベルトーネ製スプリント・スペチアーレが、そしてワゴンの"プロミスクァ"と次々に新しいモデルが加わった。

60周年イベントでは、これらのバージョンのほとんどが、かつてアルファロメオ専用であったバロッコ・テストコースに集められた。

アルファロメオ博物館が収蔵している1954年製スプリントを見ると、アルファの努力が手に取るようにわかる。決して大きくはなく、現在の標準的な小型車よりもさらに小型だ。だが、そのフロントシートはベルリーナよりも、ゆったりとしている。アメリカ車(ビュイック)の影響を受けたような、華やかで大きな2トーン・ステアリングホイールの後ろに座る。ダッシュボードにはスポーツカーらしい計器盤が並んでおり、シフトレバーのストロークは長く、機械的な感触に溢れている。眺めは最高だ。クラッチとブレーキはフロアヒンジ型だ。加えて"ロングアーム・ショートレッグ"のドライビングポジションのため、足を曲げねばならず、少し窮屈に感じる。

ソレックス製のシングル・ツインチョーク・キャブレターがツインカムに混合気を送り込むと、窮屈さなど忘れてしまう。シングル・キャブレターにも関わらず、そのサウンドは驚くほどに強烈だ。実際のところ、初期のスプリントの出力は65bhpに過ぎず、特にパワフルなわけではないが、初めて運転した人は驚くにちがいない。

ロールは大きい方(2CVほどではない)だが、現代の車に比べれば車全体が明らかに傾く。だが、この大きなハンドルで体を支えればいいとすぐに気付く。目の前の斜めに傾く水平線も、アルファロメオのコーナーへ向かうその勢いを妨げることはない。安定したステアリングが、スライドしないクリーンなコーナリングを実現する。たとえ後輪がトラクションを失っても、ステアリングを通じて前輪グリップがしっかりと伝わり、容易にコントロールすることが可能だ。だが、65bhpでトラクションを失うまでに達するには、相当な努力が必要だ。実際、バロッコの滑らかな路面では、ジュリエッタの最高のダイナミクスを体験することはできない。ジュリエッタが持って生まれた高いロードホールディング能力は、たとえばイギリスの荒れた田舎道のような路面で大いに発揮される。

フランス出身のエンスージアストによって持ち込まれたスパイダーは、ツインキャブレターのヴェローチェ仕様にアップグレードされているため、感触は似ているものの、さらに勢いがいい。スプリントほどロールもせず、ルーフがないため、ツインカムのメカニカルノイズ、ウェバーの吸気音、そしてエグゾーストの咆哮を楽しむことができる。


ピニンファリーナがデザインとボディの生産を担当したスパイダー。MGAやトライアンフTRなど、イギリスのライバル車よりもはるかに先端を行っていた

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編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺 千香子(CK Transcreations Ltd.) Translation:Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.) Words:Richard Bremner Photography:Alfa Romeo

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