デクスター・ブラウン"Famous Faces, Famous Cars"展|モータリング・アートの第一人者の到達点

デクスター・ブラウン



メルセデス・ベンツW125グランプリカーを描いたこの美しい絵は、ブラウンのクラシックなスタイルだ。この絵を完成するのは過酷な作業だったと語っている。「非常に集中力のいる作品でした。動きを表現するためにどんな色を使うのか、強い決断力が必要でした。あまりに没頭しすぎて、目を逸らすと奇妙な映像がちらついたほどです」この絵は彼の特徴である.オフセット.スタイルで仕上げられている。「車がカンバスから走り出してくるように見せたかったのです。見る人に向かってではなく、その人の前を今にも走り去っていくような感覚をね」




スティーヴ・マックイーン、そして彼がスクリーンの中やプライベートで見せたレースシーンは、ブラウンにとって恰好の題材だ。この絵にはマックイーンが映画『ル・マン』で乗ったガルフカラーのポルシェ917を二つの角度から見たシーンとともに、マックイーン自身が描かれている。しかしそのシリアスな表情を描くのは簡単ではないという。「何度か彼を描いていますが、なかなか思うようにいきません。納得がいくまでに長い時間がかかりました。この絵の中心となるのは、彼の浮かない顔つきですから、眉や目の周りの緊張感を出すために何度も手直しをする必要がありました」




ボナムスの会長であるロバート・ブルックスは、ブラウンとは長年にわたる友人であり、彼の作品の重要な支持者である。この絵はブルックス自身が所有するロータス15が描かれており、巧妙な動きの表現や鮮やかな色といったブラウンの典型的なスタイルが詰め込まれている。「冒険的な絵ではありませんが、私はこの美しい、長いフォルムを精一杯表現したかったのです。この絵では優先順位が違うのです。私のわがままで描くのではなく、この車が持つ魅力を引き出したかったのです」



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編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺 千香子(CK Transcreations Ltd.)Translation: Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.) Words:Giles Chapman

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