サハラ砂漠をフェラーリ・テスタロッサで走ってみてわかった3つの注意点

フェラーリがサハラ砂漠を行く

20年前、英国の自動車専門誌が発売されたばかりのフェラーリ512Mでサハラ砂漠を目指すという記事を掲載した。そして今、このストーリーを再現すべく、ハリー・メトカーフは自らの28年前のテスタロッサで再び地の果てを目指した。

モロッコへ
ドライバーにとっての悪夢とはまさしくこれだ。だがそれは自ら招いた災いでもあった。実は一週間前に買ったガイドブックにはタンジェ市街地を避けて、別の港からモロッコに上陸するように注意が明記してあったのだが、それに目を通したのはフェリーから降りる直前。というわけで、私は低く見通しが利かず、GPSナビの類もないフェラーリに乗って、迷路のようなタンジェの街中を抜け出そうと悪戦苦闘していた。

先が見えない街角を曲がると、たちまちボロボロの車に囲まれて身動きが取れなくなり、しかも状況はますます悪化しているようだった。道路は前方で通行止めになっており、車両はすべてオイル・リビアのガソリンスタンドを無理やり通り抜けて迂回させられている。

混乱の只中でかわいそうな係員が交通整理に全力を尽くしていたが、問題はスタンドのコンクリートの敷地とその先の仮設道路の間に30cmもの段差が存在することだった。トラックでさえそれを乗り越えるのに苦労していたほどだから、もちろんテスタロッサには越えられるわけがない。悪いことに、不安になるほど古いメルセデスに乗った短気なタクシードライバーたちがフェラーリの背後にあっという間に列をなしていた。彼らには何が問題かさっぱりわからない。たった二人しか乗れないばかりか、ヤギを載せるスペースもないテスタロッサは、彼らには何かの冗談としか思えなかっただろう。控えめに言っても、これは私が思い描いていた歓迎とはまるで異なるものである。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Harry Metcalfe Photography:Justin Leighton

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