サハラ砂漠をフェラーリ・テスタロッサで走ってみてわかった3つの注意点

フェラーリがサハラ砂漠を行く



その晩は予約していたセヴィーリャ郊外のモーテルに宿泊したが、朝起きてみたらテスタロッサは本格的なオフローダーの一団に囲まれていた。聞けばそれらはすべて"ルノー4Lトロフィー"のサポート車としてモロッコに渡るという。それは1150台ものルノーが1500kmにわたって砂漠を走るというタフなイベントらしい。我々もまたモロッコに向かうと知ると、皆呆れた顔をしながらも万一の場合は言ってくれ、と援助を約束してくれた。何しろモロッコでは英国のRACやAAのような団体によるレスキューサービスは皆無なのだ。さらに英国の保険もヨーロッパ内のみで有効であり、モロッコの場合は特別に手配しなければならない。28年物のクラシック・フェラーリでサハラを走るとなればなおさらである。

タリファにはちょうどいい時間に到着し、フェリーに乗船する列に並んだ。640マイルを何のトラブルもなく走破したことに気を良くしていた私が考えていたのは、写真に写るとしたらどのフェリーが一番カッコよいかということだった。そこで私たちはFRS"タリファ・ジェット"に乗船することにした。それはきわめて先進的なカタマラン(双胴船)で3万8500hpを生み出す怪物のようなエンジンを搭載し、42ノット(77km/h)という驚異的なスピードのおかげでたったの35分でモロッコに渡る。しかしながら、船内で読んだガイドブックの注意事項によれば、まさしくそのタリファ・ジェットこそもっとも避けるべき船だったのである。なぜならタリファ・ジェットはタンジェの街に入港するが、ツーリストにとってはまことに不親切で分かりにくいルートなのだ。結果、私たちは税関を出るやいなや、件のガソリンスタンド前の大混乱に巻き込まれてしまったのである。

マラケシュを目指す
私はなおもコンクリートの段差を乗り越えることを拒否していた。どうすることもできずにいると、後ろの車がスペースを開けてくれて何とかUターン、タンジェ市街地から抜け出す別の道を探すことにした。頼りはiPhoneのコンパスだけだったが、私たちはとうとうモーターウェイの標識を見つけることができた。天の助けである。ようやく探していた高速道路の進入路を発見、さあマラケシュに向かおう。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Harry Metcalfe Photography:Justin Leighton

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