エンジンから吹き出す炎と轟音! 蘇ったビースト「フィアットS76」への熱狂

フィアットS76 Photography:Matthew Howell (action), Stefan Marjoram (restoration)



完成してまだ日が浅いが、この激しく中傷された"トリノのビースト"に対するダンカンの信念は立証されているようだ。ステアリングはダイレクトで、ロック・トゥ・ロックは 1回転。ブレーキの調子もよく、ギアチェンジは容易でクイックで乗り心地も非常に快適である。エンジンの地上高が低いため、オイルパンのドレインプラグをバンプに当てないように注意が必要だ。

驚異的なパワーは別として、この28.4リッターエンジンのもっとも優れた特長は、低回転で回ることだ

「最新の車に積まれたエンジンの回転数を10で割ってみてください。アイドリングが80.90rpmで、150.500rpmの間はとてもスムーズです。それを超えると車全体がエンジンと共振して、多少厄介なことになります。安全な回転数は最大で約1000.1100rpm。このとき130mphは出ています。それ以上も回せるはずですが、機嫌はあまりよくなくなるでしょうね」

この夏、ダンカンは1世紀以上も前にアーサー・デュレイが時速132mph超を記録したオステンドの道へS76を持っていく予定だ。キャンピングカーやホリデーで訪れる人たちの車が延々と続いている中では、デュレイの記録を塗り替えることは不可能だが、完全に整備が施された今のS76は絶好調である。デュレイが最速記録を刻んだ冬なら、記録更新もあり得ない話ではないだろう。



1911年フィアットS76

エンジン:2万8354cc(190×250mm)、4気筒、SOHC、軽合金製シリンダーヘッド、
スチール製クランクケース一体型シリンダーブロック、
3バルブ/シリンダー、ゼニス製キャブレター、
ボッシュ製マグネトー/コイルイグニッション(3プラグ/シリンダー)
最高出力:290bhp/1900rpm(フィアット公表値) 最大トルク:235.1kgm/1000rpm (推定)
駆動方式:4速MT、チェーン式後輪駆動、多板クラッチ(ヘレショー) ステアリング:ウォーム・ヘリカルホイール
サスペンション(前後):リジット式、半楕円リーフスプリング、レバーアームダンパー
ブレーキ:手動式後輪ドラムブレーキ、ペダル操作式トランスミッションブレーキ
寸法:全長3750mm、WB2700mm、トレッド(前後)1300mm タイヤサイズ:895×135
乾燥車重:1650kg(フィアット公表値)  最高速度:225kmh (140mph)

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.)Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺 千香子(CK Transcreations Ltd.)Translation:Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.) Words:Mark Dixon 

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