英国文化のアイコン・ランドローバー|ジープにも影響を与えた偉大なる約70年の歴史

ランドローバー

ランドローバー生産は約70年で終焉を迎えた。この真の英国文化のアイコンを讃えたい。

始まりと終焉
アメリカの経済誌『フォーブス』によれば、ファッション界の大物、ラルフ・ローレン氏の資産は70億ドル以上だという。その潤沢な資金で、氏は最上級のヒストリックカーを手に入れ、素晴らしいコレクションを築き上げた。4年前にパリ装飾美術館で開催されたコレクション展示会では、コレクションから選りすぐった1938年ブガッティ・タイプ 57SCクーペ・アトランティークや1962年フェラーリGTOなどが公開され、たくさんの来場者が集まった。

氏はこれらとは対照的ともいえる、古色蒼然たる1951年のランドローバー・シリーズIも所有している。ファッションの帝王がシリーズIを選んだ理由は、これこそ王室メンバーから農夫までが等しく愛用する、あらゆる意味で本物の英国文化のアイコンであることを認識しているからだ。

ランドローバーは英国文化の象徴
第二次世界大戦直後の少ない予算で開発されたオリジナルのランドローバーは、その後70年ほどを生き延びてきた。ところが 2015年、現代の法則が求める安全性と排出ガス基準が、最終的な引導を渡す結果になった(1990年からディフェンダーと呼ばれるようになっていた)。

ここ数年間というもの、古いランドローバー、とりわけ1940年代、50年代のオリジナルを保ったシリーズIの市場価格は上昇し始めていた。グッドコンディションと評価されるものは今や 2万ポンドを超え、時には3万ポンドを付けることさえある(ほんの10年程前には、その半分の価値だった)。

2000年代の初頭に、私が自分の1951年型シリーズIを売り払った際、"水晶玉の予言"をもっとちゃんと見るべきだったかもしれない。極めてオリジナルコンディションのショートホイールベース・ソフトトップモデルは、溶岩原横断を含む、とても叙情詩的なアイスランドへの旅へと私を運んでくれた。その旅での唯一のトラブルは、ダイナモのサポートブラケットが壊れた時だった。路上にあった棒切れがダイナモとエンジンブロックの間に挟まり、ファンベルトを引っ張ったのだ。しかしその後、車は牽引されることもなく、そのままでワーウイックシャーの自宅まで帰り着いた。ランドローバーなら、貴方だってこんなことができる。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Mark Dixon Photography:Paul Harmer

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