英国文化のアイコン・ランドローバー|ジープにも影響を与えた偉大なる約70年の歴史

ランドローバー



発展の歴史
いうまでもなく、ランドローバーは漫然と立ち止まっていたわけではない。ランドローバーの発展の主要なポイントを年代順にまとめて見ると、最も重要な変更は、1983年から84年という比較的遅い時期に、サスペンションにコイルスプリングを採用した新しい110(ワンテン)と新しい 90(ナインティ)が発表された時といえる。当然、それ以前にはリーフスプリングが採用されていたが、コイルスプリングの採用は乗り心地を向上し、かつアクスルのトラベルが大きく取れることがレンジローバーで証明されていたのだ。特に後者はオフロードドライブでは有益だった。あまり知られていないが、ランドローバーは1990年以降、基本的にはガソリンエンジン仕様は用意されなかった。顧客たちはディーゼルの経済性を好み、またディーゼルエンジン特有の力強い低速トルク特性がオフロードでの使用に適していたのだ。ディーゼル仕様のランドローバーは1957年には登場していたが、1989年のまったく新しい200Tdiエンジンを搭載したディスカバリーの登場こそが本当のスタートといえる。

ランドローバーは、1948年から2007年に製造された各ユーティリティモデルに搭載の自社製エンジンの設計が特に素晴らしかった。ディフェンダーは2007年にフォード・トランジット用の2.4リッター(後に2.2リッター)デュラトルク・ディーゼルと6速ミッションでモダナイズされ、ヘリテージ、アドベンチャー、オートバイオグラフィーの3種の特別エディションが発売された。

写真は初期生産のパイロットモデルであるヘリテージ90で、白色のルーフと、明らかに最初期のシリーズIのセージグリーンをオマージュしたグラスミアグリーンのボディカラー。その由来は左フロントフェンダー側面の"HUE 166"のロゴバッジとシートトリムに縫い込まれたタブ、また各所に使われる楕円の旧ロゴで強調されている。特徴的なボディカラーは別としても、このヘリテージの最も満足できる点は、がっしりした穴あきのスティールホイールに履いたグッドイヤー235/85×16バルーンタイヤである。これで全体のデザインが完成する。

デュラテックモデルの運転は容易い。0 -60mph加速は15秒に達し、最高速は90mph(145km/h)。速くはないが充分に楽しむことができる。マキシマムトルクは2000rpmで発生し、余裕のレシオをもつ 6速トランスミッションのお陰で、ゆったりと巡航することができる。このような洗練さは、ランドローバーとしては過去にはなかった。しかし気になる点はある。ステッチが荒く、ロングドライブでは左手を擦りむくのが確実なギアシフトノブだ。しかしそのような不満は今や気にならないのだろう。なにしろ限定400台すべてのヘリテージモデルは製造前に完売しているのだからだ。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Mark Dixon Photography:Paul Harmer

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