ミウラの生誕50年を祝うために集結した「歴史上最もゴージャスな3台」とは?

Photography:Matthew Howell

この車に乗っていると、常に多くの見物客や通行人たちの注目を浴びる。今回、私たちは、歴史上で"開いた口が塞がらないほど"ゴージャスな車を3台集めた。これらミウラには、過去に創り出されたなかで最も光り輝くカリスマティックで、官能的なエグゾーストノートを奏でる長寿なエンジンが搭載されている。

サンターガタの"ホーム"とマエストロ
ここはサンターガタ・ボロネーゼ。モデナ近くにある数マイル四方のこの小さな街にはイタリアの食が集まり、周囲は農耕地に囲まれている。もし、フェラーリの本拠地であるマラネロが隣になかったら極めて平凡な場所だっただろう。サンターガタに本拠を置くトラクターメーカーのランボルギーニが高性能車生産に乗り出すと、隣町のフェラーリとはライバル関係になり、この地に人々の注目が集まった。

1948年にランボルギーニ・トラットーリ(農家トラクター)社を興し、財を成したフェルッチオ・ランボルギーニは1963年に自動車生産に乗り出すが、車の生産が始まった所は、"ホーム"と呼ばれ、今も工場のすぐ外に車が置かれている。私達は今、その偉大な車とそれを育てた人物とともにいる。

それはヴァレンティーノ・バルボーニだ。彼は快活で魅力的、それでいてまったく気取らない。ランボルギーニの伝説的なテストドライバーであり、故ボブ・ウォーレスからチーフ・デヴェロップメント・ドライバーの座を引き継いだ。ここサンターガタではこの3台のランボルギーニ・ミウラと同様にスターの扱いだ。

この神聖な場所に彼らと車が集まった理由は、今年2016年がミウラの50周年になるからだ。つまり「スーパーカー」という言葉が流行りはじめてから、もう 50年も経つことになる。1966年3月のジュネーヴ・ショーまでは、そうした説明が必要な車は存在せず、このショーで初めてスーパーカーが現れた(検索して、どの車の写真が最初に出てくるか当ててみよう)。新しいものの中で、ミウラは本当にショッキングな存在だった。

この車に関わったのは若い人たちばかりで、みな25歳ほどだった。2001年にボブ・ウォーレス本人が、ミウラは就業時間外に4人によって製作されたと語ってくれた。それは、ボブ以外に、エンジニアのジャン・パオロ・ダラーラ、パオロ・スタンツァーニ、ベルトーネのデザイナーであったマルチェロ・ガンディーニだ。「僕らはなんでも挑戦することに夢中だったし、ダラーラのアイデアはとにかく素晴らしかった。ジュネーヴでは、(フィアット会長の)ジャンニ・アニェッリが幹部達を連れてうちのブースに来たよ。彼は『これが未来だ』って言ったんだ。ミウラはすべての人の考え方を変えた」

実際のところ、ガンディーニの高揚感あふれるパネルワークの下のあるシャシーは、1965年のトリノ・ショーで公開済みであった。それは伝統的なグランドツアラーとして造られた、既存の350GTのものから多くを流用していた。ただし、そのシャシーの構造は革新的なもので、ランボルギーニ製V12エンジンをミドシップに横置きに搭載し、ホイールベースと全長を抑えていた。元々このエンジンは、フェラーリ250GTOの元エンジニアであったジョット・ビッザリーニが、自社のソシエタ・アウトスター(Societa Autostar)でF1を見込んで設計したものであった。

1966年3月のジュネーヴで、猛烈に美しいプロポーションをまとってミウラがデビューすると、伝統的なロングノーズ、ショートデッキのグラントゥリスモ・ルックを守ったミドエンジンは古臭く見えた。それはエンジンを横置きしたことによる賜物だった。

しかも当時のミドエンジン車といえば、純粋のレーシングカーと4気筒エンジンを搭載した少数のロードカーだけであった。マトラ・ジェットとデ・トマゾ・ヴァレルンガがその好例だろう。ミウラは1968年にフェラーリがデイトナで反撃に出るまで、伝統的なフェラーリ275GTBと拮抗していた。デイトナも先進的で空力的なボディを持つフロントエンジン・グラントゥリスモで、そのパワー、スピード、魅力的なスタイリングにより、スーパーカーの称号を享受していた。エンツォはロードカーをミドエンジンとすることには消極的で、1973年の365 GT4BBで、F1のイメージを引き継ぐ、ボクサーエンジンによるミドシップ・レイアウトをしぶしぶ採用するが、その頃には、フェルッチオはもっと斬新なカウンタックで反撃する準備ができていた。

さて、今回のミウラ50周年企画にあたっては、誕生当時の様子を探るべく、オクタンのイタリア特派員で、イタリアの自動車業界に関わる重要人物をすべて知っているというマッシモ・デルボが、バルボーニ、ダラーラ、スタンツァーニ、ガンディーニへのインタビューを行っているので、そちらをお読み戴きたい。


伝説のテストドライバー、ヴァレンティーノ・バルボーニ。モデナ通りのランボルギーニ本社前にて。群がるファン達の視線を釘付け。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.)原文翻訳:東屋 彦丸 Translation:Hicomaru AZUMAYAWords:Glen Waddington Additional Reporting:Massimo Delb.

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