ポルシェ史上もっとも美しいとも評される「カレラGTS 904/6」の魅力とは?

1965年ポルシェ・カレラGTS 904/6(Photography:Charlie Magee)

ポルシェ史上、もっとも美しいスポーツカー? いずれにせよ、もっともエキサイティングだったことは間違いない。ロバート・コウチャーがドニントンパークで希少な904/6をテストした。

ファットなエイヴォンCR6ZZタイヤに覆い被さるかのような背の低いスタンス、贅肉をすべて削ぎ落としたコンパクトなボディ、精巧極まりないポルシェのメカニズムを包み込む筋肉質なリアシェイプ、昼夜を問わず160mph(約260km/h)でストレートを突き進むのに必要不可欠なヘッドライトとすらりと延びたノーズ、そして後方に雄々しく突き出したテールパイプからは背筋がゾクゾクするようなサウンドがあたりにまき散らされる……。

シルバーにペイントされた"飛翔体"は、その美しさで自動車界にセンセーションを巻き起こしただけでなく、圧倒的なパフォーマンスで多くの人々を驚かせた。

ポルシェが世に送り出す一連の最新モデルが、過去にツッフェンハウゼンが手がけたスポーツカーと同じように美しいことは多くの人々が認めるところだろう。このブランドのスタイリングにまつわる偉大な歴史は、1948年に発表されたポルシェ356に始まる。そして356のデザインは継続的に改良の手が加えられ、1964年に登場した後継モデルの911にもそのDNAは受け継がれた。こうして今日に至るまで、ひと目見てポルシェとわかるスタイリングが育まれてきたのである。

そのいっぽうでポルシェはモータースポーツにも熱心に取り組み、1959年から1960年代初頭にかけて機能的なシェイプのF1やF2に投入して成功を収めたが、1962年シーズンが終わると、彼らはスポーツカー・レーシングに集中する方針を固める。こうして生まれたのが、レースにも出場できるロードカーとしては最後のモデルにあたるカレラGTS、またの名を904だった。そしてそれは「ポルシェ史上もっとも美しいデザイン」とも称されることとなった。

ただし、ここに登場する904は当時のFIA-GTレースにエントリーするために製作された106台のなかの1台ではない。もともと希少な904のなかでもとりわけめずらしく、わずか7台しか製作されなかった904/6 GTSなのだ。

エンジニアリング重視のスポーツカーメーカーとして知られるポルシェからカレラGTSのように美しいデザインが誕生した背景とは、どのようなものだったのか。その親こそ、フェリー・ポルシェの息子で、ブッツィーの愛称で知られるフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェIII世である。ドイツを代表するデザイン大学であるウルム造形大学を中退した当時28歳のブッツィーは、自動車デザイナーとして活躍しただけでなく、後にはサングラスやクロノグラフのデザインでもその才能を開花させる。そして彼の"自動車時代"の代表作が初代ポルシェ911であった。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Robert Coucher Photography:Charlie Magee

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