ベントレー、特別モデルで100周年イヤーの幕開け

Photography:Kazumi OGATA , Bentley Motors Japan

2018年8月に、翌年生産される全車にCentenary(センテナリー)と呼ばれる特別な仕様が施されることを発表するなど、2019 年7月の創業100周年に向けて盛り上がりを見せるベントレー。2019 年初めての新型となるコンチネンタルGTコンバーチブルやセンテナリー仕様、さらにはマリナーによる日本限定モデルが、先陣をきって発表された。


コンチネンタルGTコンバーチブル
ボディサイズ:4850×1954×1399 mm ホイールベース:2851 mm 
駆動方式:4WD 変速機:8段AT エンジン:W 型12気筒DOHCツインターボ 
排気量:5950㏄ 最高出力:635 ps / 6000 rpm
最大トルク:900Nm / 1350〜4500 rpm 本体価格:2818万円

会場にはベントレーのヘリテージを体現する2台のクラシックモデル(ワクイミュージアム所蔵)を飾るなど、アニバーサリーイヤーに相応しい演出が施された。センテナリーモデルは1919年のEXP2など伝説のモデルに採用されていた精巧な金属加工に敬意を表した、数々の専用パーツが取り入れられている。エンブレムやシフトノブ、ステアリングなどをセンテナリーゴールドで縁取り。エンブレムにはBの左右に1919と2019の文字があしらわれている。さらに100周年仕様のウエルカムライトを装着、ファンの心をくすぐる仕立てとなっている。


スイッチ類のローレット加工にはより柔らかい手触りのローレット加工を追加。レザーハイドは約9頭分のレザーが使われているという。 

2003年に登場、ブランド復活の原動力となったスポーティなグランドツアラーのコンチネンタルGTだ。その優雅なオープンモデルのコンバーチブルが、現行型クーペをベースに3世代目へと進化を果たした。ベントレーモーターズジャパンのティム・マッキンレイ代表は壇上で「このGTコンバーチブルはラグジュアリーブランド、ベントレーの精髄とも言うべきモデルだ。その実力は唯一無二であり、誇り高い英国ブランドでないと生み出せない」と自信の程を語った。

クーペから受け継いだパワーラインをアクセントに、従来よりノーズを長くかつ低くすることで安定感のあるシャープなスタイルに。最新LEDマトリクス技術を用いた、クリスタルガラスのような輝きのヘッドライトが特徴的だ。"これまでのオーナーを裏切らない"が基本のプレミアムブランドらしく、従来からのデザインテイストを踏襲するエレガントなスタイルに仕立てられている。

伝統的で洒落た見栄えのソフトトップは、カラーにトラディショナルなツイード模様が追加された。開閉の方法をシンプルな動きに変更することで、時速50km/hまでなら走行中に作動し、これまでより6秒短い19秒で開閉可能となっている。また、静粛性も向上しノイズを3dB軽減させた。



インテリアは最高品質のレザーやウッドを用いてハンドクラフトされた、ラグジュアリーかつスポーティなベントレーらしい美しい仕立てに。クーペにも採用される、ローテーションディスプレイを装着した。タッチスクリーンと3連アナログメーターに加え、エンジン停止時のシンプルなウッドパネルにも切り替えることができるので、インテリアの雰囲気を好みで変えられるのも魅力だ。

より暖かく快適になったネックウォーマーは、伝統のブルズアイベントをイメージしたクロームのルーバーなど、デザインにも余念がない。新型ではアームレストヒーターが装着され、冬のオープンドライブをさらに満喫できるようになっている。

エンジンは大陸を駆け抜けるGTカーの走りを体現する6ℓW12ツインターボを搭載。新世代プラットフォームの採用でボディは20%軽量化、剛性も5%向上している。価格はクーペより250万円高の2818万円、デリバリーは2019年夏頃とのことだ。

ビスポーク部門のマリナーからは、日本のみで販売されるベンテイガの特別仕様車、"ベンテイガA Limited Edition by MullinerExclusively for Japan "が登場した。伝統に裏打ちされた英国ビスポークらしいさりげなさの中に美しさを秘めた、日本のための10台限定モデルとなる。


ベントレー ベンテイガ ベースモデル(本体価格のみ限定モデル)
ボディサイズ:5150×1995×1755 mm ホイールベース:2995 mm 駆動方式:4WD
変速機:8段AT エンジン:W 型12気筒DOHCツインターボ 排気量:5950㏄
最高出力:608 ps / 5250〜6000 rpm 最大トルク:900 Nm / 1250〜4500 rpm 本体価格:3086万円

エクステリアカラーはマリナー独自のポーセリンを採用した。この仕様のために開発された22インチマリナーパラゴンホイールや、クラフツマンシップを象徴するユニオンフラッグバッチがさりげなくボディを飾る。

デザインエンジニアリングチームのスキルが遺憾なく発揮されたのはインテリアだ。いわゆる"ビスポークの3色コーディネート"といわれる、明るいホワイトのリネンをメインにインペリアルブルーの組み合わせ、特別な差し色に明るいブラウンのキャメルを採用した。これにより落ち着いた中にも華やかさを秘めた空間が演出されている。クラフツマンシップを体現する最大の特徴は、助手席側パネルに配されたウッドストライプ、ブラック・ダイド・マドローナ・ウッドだ。幾何学模様を用いたこのジオメトリックパターンは、日本の伝統工芸である寄木細工からインスパイアされた。日本限定モデルに世界で初めて採用されるに相応しい演出となっている。価格はベースの300万円高となる3086万円となる。


寄木細工からインスパイアされたブラック・ダイド・マドローナ・ウッド。このデザインを造るために、デザイナーは3カ月もの時間を費やしたという。


ドアを開けるとMULLINERの文字でパッセンジャーを迎えてくれるLEDウェルカムランプを備えた。トレッドプレートにもMULLINER が入る。

マリナーは16 世紀の馬具工房を発祥とし450 年の歴史をもつ。1950 年代からベントレーを手掛け、1959 年よりベントレーのビスポーク部門となった。その卓越したスキルと経験を活かし、ハンドメイドにこだわり続ける。ユニークでエクスクルーシブな1 台を「カスタマーと一緒に」造り出しているのだ。


今回の発表会に合わせて来日したマリナー部門のトップ、トレーシー・クランプ氏にインタビュー。



1950年代にはコンチネンタルを始めとしたアイコンモデルを製作、1957年にはフライングスパーを送り出したマリナー。毎年300台近くのビスポークモデルを開発しているという。カスタマーからのオーダー内容、ベントレーのビスポーク部門としてのマリナーの意義や理念などについて伺った。

カスタマーからのオーダーの典型的な例はボディカラーです。お客様が来訪して要望をおっしゃるのですが、いらっしゃった女性の
ドレスやネイルにぴったり合う色の車が欲しい、というご注文を受けたりします。もちろんマリナーにはボディカラーをぴったりマッチすることができる入念なプロセスがあります。インテリアのハイドについても同様で、お客様のスーツやシャツの色に合わせて色を調整することもあります。ツイードジャケットのチェックなどと、ハイドが合うよう造って欲しいというような注文もよくあります。

ボディデザインまで変えるような大掛かりなもの、たとえば完全に新しいボディ、他に存在しないような究極の一台を、という注文を受けた場合はお客様と一緒にボディの形から造り上げていくという作業を行います。2002年にエリザベス女王に納車したステートリムジンがその代表的な例です。

初めて注文される方もリピーターも、どちらもいらっしゃいますね。ベントレーをすでにお持ちの方からは、ビスポークでヘッドレストやネーム、カラーなどを造って欲しいという声があります。マリナーは他のブランドでは提供できないような、ビスポークやヘリテージに対しての技術を持っているからこそ、新規のお客様も集まるのです。

(今後ハイエンドな車はビスポークが増えてくると思うが、ベントレーの中でマリナー仕様はどれほどの割合になっていくと考えているか?という問いに対して)パーセンテージやシェアという面では考えていません。パーソナル化されて自分しか持っていない、他のマスマーケットでは期待できないエクスクルーシブなものを求める顧客が増えていくことは間違いありません。これは自動車だけではなく、洋服や住宅などにおいてもいえる一般的な将来の動向でしょう。マリナーの場合は、ここでしか実現できないものとして、デザイナーとお客様が一体となって造り上げていく"Co-Create"(一緒に創造する)を目指しています。

「自分もデザインしているんだ」という体験こそがまさしくエクスクルーシブなことなのです。"Co-Create"は「お客様と共に造り上げていく」
ことを表現する、とても大切でユニークな言葉です。マリナーではお客様が工場に訪れてデザイナーと話すこともできますし、デザイナーがお客様の所へ要望を聞きにいくこともします。双方向でやり取りできるようになっているのです。

クルー工場のメンバーはブランドに対して情熱を持っています。特にマリナーでは、40年以上という人をはじめ、長いキャリアの人
が多いこともあり、人の温かみを感じることができるのだと思います。

お客様の多くはヘリテージカーと新車の両方に乗って頂いています。1930年の8リッターのクランクシャフトを100等分して、100 台の100 周年記念限定車に搭載するという、伝統と最新をつなぐユニークな試みも行いました。これはハンドメイドだからこそできる技術です。

ベントレー100周年に向けて、マリナーではいくつか計画しています。ジュネーヴも含め、注目しておいてくださいね。


ベントレーモーターズ

文:オクタン日本版編集部 写真:尾形和美、ベントレーモーターズジャパン Words:Octane Japan

RECOMMENDEDおすすめの記事