ランボルギーニ社が自らレストアした第一号車「ランボルギーニ・ミウラSV」の完成度

1971年ランボルギーニ・ミウラSV

本誌独占取材! ランボルギーニ社のヘリテージ部門、ポロストリコでレストアされた最初の車はミウラSVの第一号車でもあった。

「The Amelia Island」は、毎年3月の週末、アメリカ・フロリダ州のアメリアアイランドを舞台に開催されるコンクール・デレガンスだ。毎年、この土曜日の夜、リッツカールトン・ホテルのバーの向かいでランボルギーニがプレゼンテーションを行う。コンセプトモデルやマイナーチェンジモデルなどの発表が恒例だが、2016年は違った。鮮やかなグリーンをまとったミウラが登場したのだ。これはランボルギーニが新たに開設したクラシック部門「ポロストリコ」でのレストア第一号車だ。

メーカーならではの完璧さ
この場にイベント参加者の表情を不安そうに見つめる二人のイタリア人がいた。ポロストリコを率いるエンリコ・マッフェオと技術責任者のマッシモ・ピッコ。

「ランボルギーニにヘリテージ部門を開設しようと数年検討を続けてきましたが、ようやくこの1年で経営陣からのゴーサインが出たのです」

「ちょうどランボルギーニ・コレクターで有名なコレッツィオーネ・ユーロ・アメリカーナの一部である"A&A プレミアクラシック"が、私たちに"特別"なミウラのレストアを依頼してきました。それでポロストリコの開設が早まったのです。そこからはバタバタでした。アメリアアイランドに間に合わせるために何カ月も残業が続きましたが、今日に間に合ったことが嬉しいです」とマッシモは語る。

グリーンのミウラはSV(シャシーナンバー4846)で、1971年ジュネーヴショーのベルトーネ・ブースに出展された"そのもの"だ。ランボルギーニのブースではLP500(カウンタックのコンセプトカー)がデビューしていたが、SVの投入によってミウラをテコ入れして、カウンタック開発資金を捻出する必要があった。そこでミウラのデザインを手掛けたベルトーネのブースでSVがお披露目されたというわけだ。なお、シャシーナンバー4846は、生産ナンバー616で、ミウラSVの第一号車であったことも確認されている。ミウラSVの第一号車は、ポロストリコでのレストア第一号車にもなった。

「レストアには新車時における仕様書の確認が最も重要なことです」と語るのは技術責任者のマッシモ・ピッコだ。同時期に生産ラインには3台のSV(スイスのランボルギーニディーラー、フォイテック向け)が入っていたが、ジュネーヴでのお披露目のために生産ラインを最初に出たのがシャシーナンバー4846だった。記録を確認すると一号車は、モーターショーの出展期日に合せるため、"ほか"のSVとは異なるパーツを数多く装着していた。その理由は、SVの専用パーツが間に合わず、Sのパーツを改造している部分が見受けられたそうだ。たとえばシャシーナンバー4846のボンネットはSのものが装着されているが、下部には大型のエアインテークが設けられていた。理由はさほど魅力的には聞こえないかもしれないが、そんなヒストリーをも愛おしく思える。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA(carkingdom) Words:Massimo Delbo

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