フェラーリの「跳ね馬マーク」誕生秘話にもつながる万年筆|AUTOMOBILIA 第5回

バラッカ=フェラーリの万年筆|AUTOMOBILIA 第5回(Photos:Kumataro ITAYA)



□小冊子
内容充実の小冊子。小冊子の表紙にもシリアルナンバーが記されている。




□万年筆の外箱
フランチェスコ・バラッカモデルはこのような筒状の箱に収められている。実はこの箱、飛行機黎明期の航空郵便の姿を蘇らせたもの。当時、航空郵便を依頼すると、書簡はこのような筒に入れられ、配達地域の近くまで飛行すると、地上で待つ配達人に、空からこの筒を投下する。写真のように筒には長く目立つ帯状の布がついていて、筒の落下時には、その帯がひらひらと目立ち落下地点を探しやすいようになっている。些細なことかもしれないが、万年筆の箱にまで一貫した演出がなされているところも、泣かせるのである。




□筒の中
筒の中も凝っている。バラッカ記念万年筆は、おそらく、本来は書簡を保護するためと思われる、やわらかな厚手の生地でできた保護布に包まれている。保護布には、差出人であるバラッカの名が刻まれた金属製の銘板が縫い付けられている。




□跳ね馬(フェラーリ)
この万年筆で最も重要な跳ね馬のマークは、キャップ部分のクリップの左右に彫り込まれている。写真はフェラーリのマークである跳ね馬。この反対側には、フランチェスコ・バラッカが用いていた跳ね馬のマークが彫られている。




□跳ね馬(バラッカ)
純銀製のクリップを挟んで、フェラーリ版の跳ね馬の逆側には、このようにフランチェスコ・バラッカの跳ね馬マークが彫り込まれている。このバラッカの跳ね馬がフェラーリエンブレムの基となっている。




□インク
この万年筆で文字を書くならば、それはエンツォ・フェラーリが特別に調合させていた紫のインク以外には考えられない。幸いなことに、以前、エンツォのインクも、そのままの調合で復刻されている。わたしはフランチェスコ・バラッカモデルのような万年筆を使う場合、インクを通すことはせず、つけペンとして用いるようにしている。ひとたびインクを万年筆本体にとりこんでしまうと、なかで固着したりして良いことがないからである。




□インクストック
インクのような消耗品で、しかも、もう二度と入手が難しいものである場合、やはりこのくらいのストックがないと、ふたを開けて使う気にはなれない。




□蛇足 ペン先コレクション
実は万年筆好きも父からの遺伝である。ただし、わたしは父より遥かに症状は軽い。ペン先を収める箱をつくらせて、ペン先だけも集めるようになってしまったら、もう病膏肓に入る、としか言えない。

文、写真:板谷熊太郎 Words and Photos:Kumataro ITAYA

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