オープン2シーターにおけるマツダ基準

Photography: Glan WADDINGTON

筆者は現行MX-5(日本名:ロードスター)のファンである。原点に立ち返り、ボディサイズは小さくなり、軽くなり、先代よりも走りにフォーカスしている。黄金期の英国車を真似しているわけではなく、MX5自身の栄光に浸っているわけでもない。MX-5には個人的な思い入れもある。マリナーブルーのNA前期型には現在の妻と出会った際、彼女が乗っていたクルマである。個人的にもNA後期型を乗っていた。

現行MX-5は、なぜか2lモデルばかり(日本ではロードスターRFに搭載しているエンジン)を試乗してきた。ただ、ずっとベースモデルである1.5l車が気になっていたし、実は非力ながらも楽しいのではないか、と気になっていた。試乗車はベースモデルとはいえシートヒーター、ブルートゥース接続ヘッドレストスピーカーなどが装着されていた。冬でも座面が温かいのは、実に心地良い。



パワーステアリングは電動化されロータス・エランほどの官能性こそないが、初代の異様なまでの軽さとは異なる。車重は1トンちょっとでロータス・エリーゼとそう変わらない。ただ、エリーゼほど軽さを強調してこない。たった130bhpだが、十分なトルクが全域にもたらされる。「1.5l」という響きとは裏腹に、実にパワフルだ。0→60mph加速は8.3秒で、2lモデルの6.5秒と比べると“遅い”。でも1.5l車の軽快感、操作感、ダイレクト感はドライバーに笑みをもたらす。あまりに楽しくて、同じ道を何度も走ってしまった。こんなことをさせるクルマ、そうあるものではない。

2シーターでよくて、さほどトランクスペースが必要ない、というドライバーにとって2万ポンドで買えるベストチョイスだと思う。たしかにスバルBRZやMX-5 RFと比較すると、劣って見える部分もあるのは事実である。しかし、差額が1万ポンドであることを考慮すれば、MX-5のベースモデルに軍配を上げたくなる。それほど楽しいクルマなのだ。ドライバーが意のままにクルマを操っている感覚は、そうそう味わえるものではない。

Words: Glan WADDINGTON 翻訳:古賀貴司(自動車王国)Transration: Takashi KOGA (carkingdom)

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