自分でやって安く済ませる―1960年代の雑誌に見るDIYのカーライフ

「サスペンションの修理法」や「窓のガタつきの直し方」などの見出しが並ぶ1960年代 の『Car Mechanics』誌の表紙。特集は「ボアアップする際の節約術」。

昨今は、残価設定型ローンで次々に新車を乗り換える人が増えた。しかし、スエズ紛争の記憶も新しい1960年代初頭には、多くの人が古い車を自分でメンテナンスして乗り続けた。その頃のイギリスの雑誌、『Car Mechanics』と『Practical Motorist』の2冊をひもとくと、驚くような節約術が紹介されている。

コラムにはこんな例が挙げられていた。「知り合いに、まったく同じ車を2台所有し、1台に修理が必要になると、そのナンバープレートをもう1台に付け替える人がいる。これは合法なのだろうか。彼が一度に1台しか運転できないのは確かだが…」(もちろん違法)

また、シャシーフレームのように、厳密には素人が手を付けるべきでない箇所を、グラスファイバーやパテを使って修理する方法が連続写真で紹介されている。たった200ポンドで高級車を購入する方法もある。といっても、ハンバー・スーパー・スナイプやジャガー・マークVIIといった少し前のモデルだ。当時は、製造後10年たっても最低限の車検(ステアリング、ブレーキ、ライトのみ)に通れば立派なものだと考えられていたのである。

広告も面白い。フォード・モデルYのフロントサスペンションを独立式にコンバートする広告や、刷毛で塗る車用ペイントの広告。“品質保証付き”の中古タイヤの広告のように、今も昔も変わらないものもある。

白黒の誌面を通して伝わってくるのは、ごく普通のオーナーが彼の車(常に“彼の”だった)と濃密にかかわっていたこと、そして、何でも自分でやってやろうという当時の人々の力強さだ。

抄訳:木下恵 Transration: Megumi KINOSHITA

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