70年代らしいルックも魅力の公道走行可能な極上レースカー|BMWアルピナ3.0CSL B2S

街中を走るB2Sを見れば、そのコンパクトぶりが分かる。オフィスにはインカオレンジのB2Sに加えて、オレンジを基調としたモダンアートが飾られていた。カメラマンのおかげで、街灯がオレンジのグラフィーティアートに変わった。(Photography: Paul Harmer)

アルピナがBMWチューニングを手掛けて間もない頃の作品が、3.0CSLをベースにしたアグレッシブなB2Sだ。ロバート・コウチャーがアートコレクター保有の"アート"に触れた。

この1971年式BMWアルピナ3.0CSL B2Sは、自動車史にとってエポックメイキングな存在であり、希少性も高い。インカオレンジの眩いボディカラーをまとうこの一台は、169台生産された初期ロットのうちの一台にあたる。ヨーロピアンツーリングカー選手権(ETCC)のホモロゲーション用に生産されたもので、軽量化された車体とキャブレターを装着していることが特徴だ。

ロードゴーイング・レーシングカー
後期型CSLにはパワーウィンドウ、パワーステアリング、クロームバンパー、ガラス製サイドウィンドウ、ボンネット開閉用ケーブル、消音材、分厚いカーペットなど「シティパック」と呼ばれる快適装備をふんだんに採用したことから、初期型よりも135kg重くなった。また、スプリングやダンパーのセッティングも軟らかめに変更された。そういう意味でも1971年式の初期ロットこそが最もピュアで、そのままモータースポーツに参戦できるほどだった。

もちろん、この一台は単なるCSLではない。シャシー番号"2211724"はBMWからアルピナの工場へ送り届けられ、さらなるスポーツ性能を追い求め専用チューンが施された公道走行可能なレーシングカー、B2Sである。軽量スチールボディはBMW出荷時から標準で、ルーフの中心部を軽く押してみればすぐにわかる。ドア、ボンネット、トランクリッドはアルミニウム製で、リアサイドウィンドウは樹脂製で固定式。さらにフロントバンパーは備わらず、リアバンパーはグラスファイバー製になる。後期型の"シティパック"とは違いスパルタンな中身だ。

6気筒エンジンはアルピナ独自の高圧縮比に対応した鍛造ピストン、大径バルブ、ハイリフトカムシャフト、3基のウェバー製45DCOEキャブレター、専用エグゾーストマニフォールド、ZF製の公道走行用5速スポーツトランスミッションなどが組み込まれた。そのほかアジャスタブル・アンチロールバー、45%ロッキングディファレンシャル、オイルクーラー、大型ベンチレーテッドブレーキディスクなどを装備し、ビルシュタイン製ダンパーにはプログレッシブレート・スプリングが組み合わされていた。結果としてB2Sは最高出力250bhpを誇り、0-60mph(96km/h)加速6.6秒、最高速度151mph(243km/h)という動力性能を発揮した。これは当時のアストンマーティンV8を凌ぐパフォーマンスである。公道走行車両ながらも、「ピュアレーシングカー」と呼べるほどのレベルだった。ほぼ半世紀前の車ながら、現代でもこの性能は圧巻だ。

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation: Takashi KOGA (carkingdom) Words: Robert Coucher Photography: Paul Harmer 取材協力:ケニー・シャフター(オーナー)、バーニー・ハルセ(クラシックヒーローズ:www.classicheroes.co.uk)

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