ポルシェ959を最新技術で「究極の911」へとアップデートさせた執念のレストア

1988年カネパ・ポルシェ959(Photography:Mark Dixon)



20年経って究極の911へと昇華
ブルースから車を預かり、いよいよ取材班だけで試乗する時間となった。撮影場所へ向かう道中は荒れた路面が続くが、なんら不満を覚えることなくスムーズに駆け抜けていく。エグゾーストのバイバスバルブを「静音モード」にして走れば、洗練された雰囲気が漂う。ドライバーの操作に忠実で、首が痛くなるほどの加速力があり、いつでも、どこでも笑みをもたらすスリルを味わうことができる。

カネパ・カーズは、見事に959が持っていた真のポテンシャルを引き出した。ポルシェが、もっと959開発に時間をかけていたなら、更に素晴らしい車に仕上がったかもしれない。だが、当時には存在しなかった、ターボチャージャーや燃料供給システム、エンジンマネージメントシステムの進化があったからこそ、カネパ959のような魅力あふれる車が完成できたのも事実だ。そして、究極の911が仕上がったと私は思う。

ポルシェ959の新車時価格は、掛かったコストの約半分だと言われている。リアエンジン搭載車の可能性を探る959の開発は、911の将来を占うものでもあった。そして、20年が経った現在でも、911はリアエンジン搭載車として存続している。その点でポルシェは、間違っていなかった。

ボディ下部を覆うカバー、リアフェンダーから流れるように続くリアウィングなどによって、空力特性はCd値0.30を達成。またゼロリフトを実現している。インテリアは911そのものだが、センタートンネルはドライブシャフトをフロントに通すために若干、"背"が高くなっている。

1988年カネパ・ポルシェ959
エンジン形式:2850cc、水平対向6気筒、DOHC、24バルブ、
ギャレット製ツインターボ、フューエルインジェクション、エンジンマネージメント
最高出力:640bhp 最大トルク:580lb-ft
トランスミッション:6段 MT、4WD ステアリング:ラック・ピニオン
サスペンション(前後):ダブルウィッシュボーン、チタンコイルスプリング、
3ウェイバルブダンパー、アンチロールバー
ブレーキ:ディスク 車両重量:1400kg
性能:最高速度222mph(357km/h)、0-60mph 2.9秒

編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) Transcreation:Takashi KOGA (carkingdom) Words:David Lillywhite Photography:Mark Dixon 取材協力:Canepa (www.canepa.com)、ロバート・オーカット

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