ジェームス・ハントの家を訪れて│彼が所有していたメルセデスの今

Photography: James Lipman



ハントの死は1993年6月15日の火曜日に突然訪れた。日曜日にはカナディアンGPを見て、月曜日の午後は私と会っていた。その時はなんだか怒っているような雰囲気であった。おそらく、私がハントに会って話していた最後の人物であったかもしれない。

ジェームスがこの世を去り、メルセデスとA35バンは1994年のオークションに出展され、バンは3500ポンド、メルセデスは4000ポンドで落札された。その後はレストアされ、明るめのメタリックブラウンに塗り替えられた。レストアには2万4000ポンドがかけられ、パーツだけでも9000ポンドがかかったそうだ。



レストアされてからは、数名の手元に渡ったが、現在のオーナーであるジョン・イムレイが一番長く所有している。この車を執念深く探したそうだが、6.9リッターのメルセデスが欲しかったというわけではなく、"ハントのメルセデス"が欲しかったのだ。"この車が売りに出た時はアフリカで働いていて、9950ポンドでハントの死からは13年が経った2006年6月に購入した。9万2000マイルの走行距離で、悪いコンディションでは無かったよ"と言う。

イムレイは毎日の足としてこのメルセデスを使っている。車内は広く快適で、孫の送り迎えにも最適な一台だという。彼と共にメルセデスに乗りこみドライブへでかけた。



最後に私がこのメルセデスに乗った時、隣にいたのはジェームス・ハントであったのだ。彼とメルセデス・ベンツ・ワールドにあるサーキットを走ったことを思い出した。今でも、特に楽しかった記憶として私の中に残っている。

Words: Andrew English 訳:オクタン日本版編集部

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