BMW歴代のデザイナーたちが描いた貴重なスケッチ19枚

すべてはスケッチから始まる(Photography:Daniel Kraus)



BMW Z4:2002〜08年
「典型的なBMWというよりは傍流に近い存在かもしれませんが、これもクールです。フレーム・サーフェシングを用いた作品としては、これがベストな作品でしょう」

前任者のクリス・バングルが提唱した凹面と凸面の組み合わせによるデザイン言語について、ファン・ホーイドンクはそう語った。同じくバングルの手になる2001年デビューの7シリーズに比べれば、Z4は大した論争を巻き起こさなかったモデルといえる。もっとも、保守的なファンから反発を受けたあの7シリーズがフレーム・サーフェシングではなかったことは、これまであまり語られなかった事実だ。また、前任者の誰と比較しても、バングルほどBMWのセールスに大きく貢献したデザイナーがいなかったことも知られざる史実であろう。

「私は彼のスケッチが大好きです。力強くて、シャープで、過激だけれども、とても興味深い作品です」と、これらのスケッチを手がけたアンダース・ウォーミングについてファン・ホーイドンクは語った。スケッチ [16]は、デザイン初期の作業が1999年頃までどのように行われたかを物語っている。

「正確にはミックス・メディアと呼ぶべきです。いまではフォトショップを活用することでより迅速に作業できるようになりました。ミケロッティはスケッチに1日費やしていたでしょうが、私たちは10分ほどで作業を終わらせます。つまり、大切なのはアイデアであって、それを素早く画像に変換する方法を私たちは手に入れたのです。その後、私たちはより精密に描画できるようにもなりました」

ウォーミングはZ4クーペの開発でもアイデアを提供している(スケッチ [17][18])。「最初に、彼は一般的な紙の両側にマーカーでスケッチを描きます。続いてそれをスキャンし、残る作業はコンピューター上で行います。これがミックス・メディアと呼ばれるもので、デザイナーはこうしてコンピューターへの移行を果たしたのです」





編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Richard Bremner Photography:Daniel Kraus

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事