コストパフォーマンス抜群で、走りも楽しく頑丈なボルボの1台とは?

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メーカーのブランドイメージを決定づけた車があるとしたら、ボルボ・アマゾンがまさにそれだ。スウェーデン製自動車の耐久性と信頼性、安全性を世界に知らしめた。そうした長所で他の1950年代~60年代のサルーンを上回るため、現在では苛酷な耐久クラシックラリーにアマゾンを選ぶ人が増えている。ところが、価格は長年眠ったままで、性能で劣る同時代のファミリーカーと同程度だ。

1956年にデビューしたアマゾンは、単に1955年クライスラーをスケールダウンしただけの車のように見えたが、ボルボに限って魅力が外観だけということはあり得ない。先行モデルのPV544は、フォードの1942年米軍スタッフカーによく似たデザインだったが、ラリーで大活躍し、ボルボの組立品質とロードホールディング能力に対する評価を確立した。4気筒エンジンは絶対的な信頼性を誇り、コイルスプリングを採用したサスペンション(フロントはダブルウィッシュボーン、リアはリジッドアクスルとツイントレーリングアーム)も性能は折り紙付きで、メンテナンスや調整が容易だった。

このパッケージにきわめて頑強なモノコックを組み合わせて誕生したのがアマゾンだ。他の変更点は細かい点に留まる。当時としては先進的な安全性能として、シートベルトやダッシュボードにパッドが付いた。車内をきちんと温めるヒーターや、"医学的見地から最適化した"シートも採用。どれも取り立てて魅力的には思えないだろうが、私はアマゾンを所有していたので、その素晴らしさをよく知っている。前席の合皮シートは快適だし、動き出せばステアリングも軽い。極めつけがヒーターだ。おかげでロンドンのラッシュアワーも怖くなかった。高い信頼性のおかげで、修理費に悩まされることもなかった。

発売当初のエンジンは1.6リッターで、出力60bhp、最高速85mph、0−60mph加速は17秒だった。ラテン語で「私は回る」を意味する車名の通り、その後は転がるように進化を続ける。1958年にツインキャブレターのオプションが登場。1961年には1.8リッターに拡大し、1968年には2.0リッターもオプションに加わった。オーバードライブ装備、95bhpの1.8リッターエンジンにツインキャブレターの122Sは、60mph加速が12秒、最高速は95mphに達し、最高のオールラウンダーと評価されている。読者が興味を持つのは2ドアの123GTだろうか。ボディシェルの剛性が高く、最高速は109mphに達するから、クラシックモータースポーツに最適だ。

前席シートベルトは1958年に世界で初めて標準装備とし、翌年にはデュアルサーキットブレーキを採用し、1964年にはフロントがディスクブレーキになった。ラインアップも拡大し、1961年に2ドアモデルが登場、さらに翌年にはエステートワゴンが加わった。

ちなみに、「アマゾン」が正式な車名として使われたのはスウェーデン国内だけだ。ドイツのバイクメーカーであるクライドラーが先に商標登録していたため、他の地域では120シリーズと総称された。

いかにタフな車かを示すのが、カーブレイクラリーとして知られるアクロポリスラリーで1965年に122Sが優勝したことだ。また、あまり知られていないが、カナダを横断する1964年シェル4000ラリーでは、ボルボが10台出走して全車完走を果たし、主要4クラスで優勝した。アマゾンは壊れない。壊れたとしてもすぐ直せるのだ。


1956年
イギリス発売時点でアマゾン121は輸入税を含めて1200ポンドだった。これは国内メーカーのサルーンより大幅に高く、たとえばフォードのコンサルMk.2が781ポンド、6気筒のゾディアックでさえ968ポンドにすぎなかった。価格が最も近いのは標準仕様のローバーP460で、アマゾンより100ポンド以上高かった。ジャガーMk.12.4は1430ポンド、シトロエンDS19は1729ポンド、メルセデス・ベンツ190サルーンは1794ポンドだった。

1959年
最後のアマゾンがイギリスで登録されたこの年、2ドアで1.8リッターの123は1229ポンドだった。国内メーカーの大衆的サルーンに比べれば依然として高かったが、他の同等のモデルよりは手頃で、トライアンフ2000は1412ポンド、ローバーP6 2200は1514ポンドだった。また、ジャガーの2.8リッターXJ6が2000ポンド、シトロエンID/DSが1399~2122ポンド、メルセデス・ベンツ2200に至っては2576ポンドに上昇していた。アマゾンの生産台数は64 万4716 台(4ドアが35 万9118 台、2ドアが20 万2421台、エステートが8万3177台)である。

現在の状況
近年のオークションを見ると、アマゾンの平均落札価格はわずか4846ポンドである。はるかに安い価格でも、一見使い込んでボロボロに見えるが、充分使用に耐える車が手に入る。イギリス国内オークションでの最高値は1万1813ポンドで、レストアされたばかりの4ドアの121だった。2015年には、耐久ラリーで使い込まれた1967年123GT が装備一式揃って6820ポンドで落札されている。販売店や広告を見ても、123GTやエステートでなければ1万ポンドを超えることは稀だ。現在出ている販売店の広告で最も高いものは2万4900ポンドだが、これはラリー仕様の1967年123GTで、15カ月かけてレストアしたばかりだからだ。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)

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