フェラーリ栄光のエンブレムが誕生するまで|伊空軍のエースパイロットとエンツォとの歴史

栄光のエンブレム(TONY WILSON-BLIGH/Alamy Stock Photo)



跳ね馬はほかのところにも…
馬のロゴで有名なのはフェラーリだけではない。

馬は、有史以前から男性的な力強さと高い能力の象徴だった。中世には騎士道と深く結びつき、以来、紋章や商標に広く使われてきたので、フェラーリはごく最近の一例に過ぎない。

たとえばモービルは、まだバキューム・オイル社だった1911年に、あのペガサスのロゴを商標登録している。そのロゴがレーシングカーに登場するようになるのは1940年代だ。面白いことに、1952年のインディ500には、跳ね馬の隣にモービルの天翔る馬を描いたフェラーリがエントリーしていた。

ポルシェもエンブレムに跳ね馬を使っている。356の生産を始めて間もない頃、アメリカの輸入業者マックス・ホフマンが、車にバッジを付けたほうがいいと提案した。そこでフェリー・ポルシェが描いたラフスケッチが、バーデン-ヴュルテンベルク州のクレストに州都シュトゥットガルトの紋章を組み合わせたものだった。偶然にも、シュトゥットガルトの紋章は黄地に跳ね馬だったのである。

1956年から61年までの間、同じくイタリアの伝説的二輪メーカーであるドゥカティが、デスモドロミック・バルブ機構を備えたレーシングバイクのカウルに跳ね馬を描いていた。これは、ドゥカティの名高いデザイナー、ファビオ・タリオーニの希望だった。タリオーニはフランチェスコ・バラッカと同郷で、父親は第一次大戦中、バラッカとは別の飛行隊のパイロットだった。そこで、フェラーリに許可を取って、その跳ね馬を使ったのである。こうしてドゥカティは「二輪のフェラーリ」と呼ばれるようになった。

もうひとつ、フェラーリの旧敵フォードにも、疾走する野生馬をシンボルにしたモデル、マスタングがあることを忘れる訳にはいかない。


編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Delwyn Mallett

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