ヨーロッパ車の「ちょい悪」レストア!?|ランチア・アウレリアの「アウトロー」の全貌

1957年ランチアアウレリア B20 GTアウトロー(Photography:Paul Harmer)

ランチア・アウレリアB20GTは厳かに美しい。悪ぶってみるという提案もある。

今や、フェラーリ250GTOのレプリカを造るために、250GTEを切り刻もうとする者などいる訳がないだろう。そうした蛮行が行われたのは遠い過去のことだ。

しかし、英国中部、石造りの古い村々が点在する風光明媚なコッツウォルドを拠点とするオールドカーレストレーションのスペシャリスト、ソーンリーカラム社は、世界初となるランチア・アウレリアの"アウトロー"を造ることに信念を持っていた。

同社は共同創設者のウエイン・カラムとサイモン・ソーンリーが2009年に創業した高品質のペイントショップから始まる。同社のフォトギャラリーには、1900年のドラック・ヴォアチュレット、1901年のパナール・エ・ルヴァッソールからゴードンキーブル、シェルビー・マスタング、さらにはモーリスのFFK140大型トラックに至るまで、世界中のあらゆるオールドカーが見事に復元された姿で載っている。特筆すべきは英国以外の外国車が多いことだ。特にランチアについてはラムダを始めとしてアストゥーラ、アッピア、フラミニア。そしてアウレリアでは、B24スパイダーを含むほとんどすべてのシリーズを手掛けている。また、驚いたことに、故"ステディ"バーカー翁(訳註:英国の名物モータージャナリスト、ロナルド・バーカー)が1951年に自ら描いたというスケッチを元にしたアストゥーラのボディ製作も進行中だ。

アウレリア・"アウトロー"
アウトローというカテゴリーは、メーカーの純正ラインナップ以外のモデルに用いられる用語で、イタリア語「fuorilegge」の翻訳であると、ソーンリーカラム社のWebサイト(www.fuorilegge.co.uk.)で解説されている。純正ラインナップ以外、すなわちモディファイやカスタマイズされたモデルがそれに当たるが、中でもアウトローはその名が示すように、外観的にも性能的にも"ちょい悪"を気取ったモデルを指す。北米発祥の文化であり、したがってほとんどの既存のアウトローはアメリカ車ベースが多く、いわゆるホットロッドとの線引きも曖昧で、それらのレースシリーズも存在する。実際、市販車にアウトローというネーミングがあること(実はまったく悪そうではない日本製のピックアップ)を見ても、北米においては一般名称である。それだけに、ヨーロッパ車ベースには例が希で、かろうじて専門メーカーが送り出しているポルシェ356ベースのものが知られている程度だ。

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Paul Hardiman Photography:Paul Harmer

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