ヨーロッパ車の「ちょい悪」レストア!?|ランチア・アウレリアの「アウトロー」の全貌

1957年ランチアアウレリア B20 GTアウトロー(Photography:Paul Harmer)



オーナー像 その2
最初のアウレリア・アウトローが完成し、それが英国を去る前に試乗したオーナーの友人、ダニー・サリバンのための計画も別にあった。彼は13年に亘るオーバルコースでのレース経験を持つドライバーだ。インディカーワールドシリーズでの優勝は、1985年のインディアナポリス500(リードを奪うためマリオ・アンドレッティを抜いたところでスピンした)を含む17回。および1988年のF1シーズンに続くカートチャンピオンシップにティレルより参加。これらと同時に、多方面にわたる熱心なカーエンスージアストとしても知られていた。

過去にはアストンDB4、メルセデス・ガルウィング、911RS2.7ライトウェイトなど多岐にわたる。さらにコレクションの何台かを処分して、ポルシェ・ラリーカーのプリパレーションで定評のある、タットヒル社の911ラリーカーも買い入れている。サリバンは、現在でもポルシェ356Aや、そしてヴィンセントブラックシャドウまでを所有する。重要なことは、彼は自分のコレクションを走らせることが好きなことだ。ちょうど1932年型のスモールブロックエンジン搭載のフォード・ホットロッドで、1200マイルの一般道走行を終えたという。「私はひとつに凝る傾向がある。なにかに数年集中して、次に移行する」

サリバンは、友人の車の写真をアメリカで見て、そして英国まで出向いて行って試乗した結果、アウレリア・アウトローは彼の目標リストの一番目に浮上した。「ウエインが試乗に付き合ってくれ、すべてを解説してくれた。私は以前、チューリッヒの大手クラシックカーディーラー、ルーカスフニでアウレリアとフラミニアをドライブしたことがあったし、アストンDBMk.IIIとベントレーRタイプも試乗した。どれもファンタスティックだったが、このアウレリアはそれらよりもっとずっと面白かった。メガパワフルでなく、ちょっとだけセックスアピールが強い。そして私はこれならエディンバラまでも快適に行けるだろうと感じたものだ。ランチア社がフラミニアエンジン搭載のアウレリアを造っていたら、純正のすばらしいホットロッドになったはずだったと思わないか?」サリバンのアウトローは多少の調整後、夏までには完成する。

「すべてイタリア製で統一を図るためフェラーリのシートを使うことにした。そしてこれがヨーロッパにある間に、友人たちとシシリー島ぐらいまで行ってみることを楽しみにしているんだ」だが、彼は実のところ、このことは世間の賛同は得られないだろうと考えている。「すべての車は金さえかければレストアが可能だ。私が買った車は実走車だったが、メタルワークをしなければならない箇所はより少ないものの、作業には6週間が必要だ。事実上、"どんがら"だけと言える不完全な車と交換してしまった」

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Paul Hardiman Photography:Paul Harmer

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事