ヨーロッパ車の「ちょい悪」レストア!?|ランチア・アウレリアの「アウトロー」の全貌

1957年ランチアアウレリア B20 GTアウトロー(Photography:Paul Harmer)



ポテンシャルオーナー
アウレリア・アウトロー1号車は今、サリバンの希望でカリフォルニアにある。2016年8月のモントレー・ウィークエンドではセンセーションを巻き起こし、カーメルのクエイルロッジ・ゴルフクラブで開催されたコンクールと、モントレー・ジェットセンターのパーティではショーの主役だった。このおかげで、サンタモニカのグラフィックアーティストであり、各媒体にフェラーリの記事を寄稿しているテックス・オットーが新たにアウレリア・アウトローの虜になった。

「私は何台かのホットロッドを所有しているが、なにも問題のない車を切り刻むことには躊躇してしまう種類の人間だ」と彼は言う。「とても素敵な’32フォード3ウィンドウクーペのオリジナルを所有していたことがあるが、どうしてもそれを刻むことができなかったので、ためらいもなくやってしまえる次の奴に売ってしまった。ヴィンテージフェラーリくらいになると、その由来によってモディファイは自重されるものなのだが…。約2万台が造られたアウレリアの中で、見捨てられている数千台の復活は意味のあることだし、現代的なグランドツアラーとしてパーソナライズされたクラシックなピニンファリーナコーチワークを所有できる稀有なチャンスだろう」

「ここ数年間、私はアウトローポルシェ356の製作と販売においては実績が豊富なカリフォルニアのイモーリーモータースポーツ社の製品や、モダナイズされたメカニズムを持つが、外観はストック仕様に見えるものにまで注目してきた。それらは一様に私が好むスポーティなキャラクターを持っているものの、私が考えているのはもっと洗練された品位のある車だ。つまり、ホットロッドとカスタムの融合、モンテカルロラリーやレースのイメージ。そしてそれとともにプレゼンテーションが紳士的であることが欠かせない。私がサイモンとウエインの作品に出会った時、今まで漠然と持っていたイメージが突如具現化された」

「私が対象とするのは、それを生き返らせるには多くの愛情が必要な、無視され捨てられた車だ。そしてそれこそが何台かの不幸な車を生きながらえさせるやり方だと思う。オリジナルカーをこのようにモディファイしてしまう罰当たりなことかもしれないが、しかし世界にはまだ多くのアウレリアが、歴史ある車を探している人たちのために眠っている。長い間放置されていて根本的なレストレーションと造り直しが必要なボディは、オリジナルデザインの現代的解釈によるクリエイションという無限の可能性を秘めている」

アウレリアB20GTアウトローは、オックスフォード近郊の、サー・ウインストン・チャーチルの生家として知られるブレナムパレスで2015年に開催されたサロン・プリヴェでデビューし、人々の想像力を刺激した。もし彼らの後に続く会社があったとしたら…

車の単一性、独自性が薄まるまでに何台の車を造ることができるのかを尋ねてみた。サイモンの答えは「6台。それはウチで決まっている上限だ」その最終の承認は、あのV6ユニットを設計した、アウレリアのキーマンだったフランシスコの息子のジョヴァンニ・デ・ヴィルジーリオが出すのだが、彼はサイモンにこう言ったそうだ。

「これはジャンニ・ランチアが友人たちのために造ったかもしれない可能性の極めて高い、とても明確で現実的な車だ」

1957年ランチアアウレリア B20 GTアウトロー
エンジン:2775cc、V6、OHV、ウェバー製トリプルチョークキャブレター
最高出力:170bhp/5100rpm 最大トルク:26.1kgm/3800pm
変速機:前進4段MT、後輪駆動 ステアリング:ウォーム&セクター
サスペンション(前):スライディングピラード・ハイドロリック・ダンパー、
コイルスプリング

サスペンション(後):ド・ディオンアクスル、リーフスプリング、
テレスコピック・ダンパー

ブレーキ:ディスク 車重:1209kg
最高速度:201km/h 0-100km/h:1.1秒(推定値)

編集翻訳:小石原耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:Paul Hardiman Photography:Paul Harmer

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