ボンドのアストンマーティンを追い回す悪役に選ばれた車とは?

Photography:Lyndon McNeil and Sony/EON





ディフェンダーに求められたのは、凄みのある外観だった。ランドローバーSVOは、この要望に見事応えた。製造された10台はすべてブラックで装備も同じ。目も眩むばかりのライトバー、ルーフラック、アクセスラダー、ブルバー、ウォーン製ウィンチを備え、オーバーサイズのホイールに37インチタイヤを履く。また、全車にロールフープを取り付け、消火システムと電気系のキルスイッチ、スタントで役立つ油圧式ハンドブレーキも装備した。

ディフェンダーは重心が非常に高いため扱いにくいのだが、完成したアクションシーンを見てもそんな苦労は微塵も感じない。うち3台は『007 スカイフォール』にも出演したベテランだ。

圧巻なのは飛行機が建物に突っ込み、さらにディフェンダーとぶつかるシーンだ。この撮影では、ディフェンダー2台からエンジンやトランスミッションなどすべてを現場で取り外した。代わりに取り付けた火器で前方へと押し出し、さらに火を付けたのだ。ぶつかった衝撃で1台のボディシェルはねじ曲がったが、ディフェンダーは無事に生き延びて、再び走行できる状態になっている。



ディフェンダーにとって最大の問題は、通常のトレッドタイヤとスパイクタイヤとを何度も交換した際に、巨大なタイヤのバランスを取ることだった。ルーフに取り付けたライトは、明るすぎてカメラが対応できず、一度も出番がなかった。


編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:David Lillywhite 

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