2万7000cc航空機エンジンを積んだドラゴンカーの正体とは?

Photography:Paul Harmer



ヒストリーはこうだ。フランス空軍はカプローニ社に39機のカプローニCa313双発爆撃機を発注したが、戦況の変化によりイタリアがそれらを没収し、何機かを1940年に中立国のスウェーデンに売却した。エンジンナンバー253、フライトナンバー5は上述のクラッシュのあとリペアされたが、1943年に廃棄された。このフライトナンバーは、ドラゴンのテールに手書きで書き込まれている。

「エンジンを手に入れ、次に大型のシャシーを探した。2010
年の春に、このドラージュのベアフレームをニースで発見したが、錆だらけでかつ不完全だった。サンドブラストをかけ、フロントを広げてスペースを作り、補強のためサイドメンバーをボックス構造とした。私は20年間にわたってCAD/CAMを仕事で使ってきたが、このボディとその下のスティール構造は紙の上で設計した。ボディ形状のほとんどは私の頭にあり、それをアルミで再現するつもりだった。板金と溶接はすべて自分でやったが、トリッキーなきわどい工程だった」

完成には3年間のグレンの週末と早朝のほとんどを費やすことになったが、彼はコクピットに座る姿を思い描き奮起したという。



「それは大きな期待だったが、興奮するより恐怖が先にあった。なぜなら車がどのように反応するか皆目見当がつかなかったからだ。それは初めは単にシャシー上に乗ったエンジンの状態だった。まだ最終のエグゾーストパイプはついておらず、航空機用の短いものが付いているだけだった。回転が上がるに従って爆音と炎を吹き出し、非常に恐ろしかった」

グレンのホームメイドのエグゾーストシステムは、24本のスパークプラグを持つシリンダーヘッドの間、垂直のシャフトドライブで駆動されるエグゾーストとインレットの2本のオーバーヘッドカムに挟まれた谷間から出る。それぞれの排気管の直径はほんの少しリアが大きい。グレンの自由な発想の一例だ。このモンスター製作によって足かせを外された彼の才能が次に向かう先は、どんな車だろうか。

「今は1934年のグランプリカー、メルセデス・ベンツW25風の車にかかっていて、それにはリンカーンのV12エンジンを使用する。名前はまだ決めていない」

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation:Kosaku KOISHIHARA Words:John Simister 

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