奇跡の発見、再び│発見の一部始終をインタビュー

Photography: Xavier de Nombel / Artcurial

再び金鉱といえるクラシックカーを掘り当てたアールキュリアルのマチュー・ラムールに発見の一部始終を聞いた。

「バイヨン・コレクションのときと同じでした。オーナ
ーには二人の娘さんがおり、そのひとりから電話を受けて、私たちはすぐに会いにいきました。その女性は、父親のアウグスト・トマセンが1950 年代から所有していたブガッティの安全をひどく心配していました。誰かが納屋に押し入ろうとした、同じことが起きるのを防ぎたい、というのです。

できるだけ早く車を移動する必要があったので、さっそく翌週、現地へ行くことになりました。ピエール・ノヴィコフと一緒にベルギーのリエージュに向かい、輸送業者を手配して、いよいよその場所に到着。そこで初めて、ブガッティ57を救い出すのは大仕事だと分かりました。侵入者を近づけまいと、1個10 kg の砂袋が少なくとも300個、入口の前に積み上げてあったのです。また、20 年は放置されていたであろう腐りかけた古いローバーもありました。娘さんはそういったことを事前に何も教えてくれなかったんです。



まず私が長靴や工事現場用の手袋、ブロワーなどを買ってきて、それから皆で片付けに取りかかり、それが済んでようやく木の扉を開けることができました。現れたブガッティ57はシートに覆われていました。60年近くもの間、そこで深い眠りについて静かに私たちを待っていたのです。どんな物語が秘められているのか、どんな景色の中を走り、誰を乗せたのか…、たくさんの疑問が頭に浮かび、ますます好奇心を掻き立てられました。

トマセンは内装を取り外して箱に保管しており、右側のドアも取り外されていました。暗闇から車を引き出す瞬間ほど大きな満足感を味わえるものはありません。タイヤに空気を入れて外に押し出すと、私たちは数歩下がりました。すると突然、そのボディワークや形、デザインが生き生きと輝き始めたのです。驚嘆で目を見張りました。まさに芸術品です。





隣の納屋には、タイプ49とシトロエン・トレフル(C 3 )がありました。シトロエンはフードを下ろした無傷の状態でした。まるで降り積もった埃が驚異のオリジナルコンディションを守っていたかのようにです。タイプ49も同様で、全体が何枚もの毛布にすっぽりくるまれていました。2 台を外に出すには、半分に折れそうなほど錆び付いたトライアンフ・ヘラルドをどかす必要がありました。ボードやウィンチを使って何とか脇に移動すると、ようやくタイプ49とトレフルを解放できました。



納屋から車を運び出すときは、いつでも様々な感情が湧き起こります。ソーシャルネットワークの恩恵でとてつもない速さで情報が広まる今の時代に、こうした秘宝を発見し、外に持ち出す最初の人間になれるのは大変名誉なことです。しかも、その車を自分たちのオークションで扱うのですから。売り手と絶対的な信頼関係を築けるかどうかです。今回のように、ある家族の貴重な財産を任されるときは、細やかな心配りが必要です。安心感を与え、この瞬間と貴重な経験に値する人間でありたいですね」

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA

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