生まれたときからレーシングカー│アルファロメオ・ジュリア・スプリントGTA

RM Sotheby's

オークションに出展されたある1台のジュリア・スプリントGTAについて。市場には1960年代のアルファロメオのレーシングカーが溢れている。だが、その多くはロードカーとして生まれ、公道での役目を終えた頃にレース用にコンバートされたものだ。この美しいジュリア・スプリントGTAは違う。

1965年にコン
ペティションカーとして誕生し、翌年、有名なチューナーであるアウトテクニカ・コンレロに届けられた車だ。その後、ドイツ人の手に渡ってからもレースで活躍していたが、やがて、時折ロードカーとして使われる以外は、しまい込まれている時間が長くなった。それを1990年代に購入したのが出品したスペシャリストだ。

GTAの権威として高名なこのスペシャリストは、極めて貴重な1台であることを見抜いた。「コルサ」と呼ばれる本物のレーシングモデルであるだけでなく、右ハンドル車として製造されたわずか50台のうちの1台だったのだ。

詳しく調べると、アルミニウム製のボディパネルはファクトリー製で、最小限のインテリアトリムと様々なマグネシウムパーツで、できる限り軽量化を図っていた。さらに、トランク内部にはホモロゲーションナンバーが刻印されており、特殊なGTAトランスミッション、アウトデルタ製リアアクスル、第1シリーズのカンパニョーロ製ホイールも揃っている。最高のレストアを施すに値する車なのは明らかだった。

写真を見ても第一級のレストアを受けたのが分かる。オリジナルのアルミニウム製ボディワークはすべて生かし、ファクトリー純正のコンポーネントもできるだけ残した。レストアが完了してからの走行距離はシェイクダウンの40kmだけで、RMサザビーズ曰く「新車同然」のコンディションで出品された。

これだけの車だから安いはずがない。しかもGTAはヒストリックレースで、ダッシュボードに付いているコンレロのプレートや、軽量化のためにドリルで穴をあけたシフトレバーなど、ディテールもこの上なく魅力的だ。

もちろん、コルサ仕様のパーツをかき集めて、標準のGTAをレプリカに仕立て上げることも可能だ。ただし、それには相当の時間と手間がかかる上、完成しても決して"本物" にはなり得ず、その価値についても疑問が残る。対して、生まれたときから正真正銘の本物だったこの車なら、鉄板の(というより軽量アルミニウムの?)投資になるといえるだろう。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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