コールドプレイのベーシストが語るクラシックカーへの愛情

Photography:Tim Andrew

コールドプレイのベーシスト、ガイ・ベリーマンは、ビッザリーニをはじめとする1960年代のスポーツカーを偏愛する。

車への情熱は、物心がつく前から父のガレージに(トライアンフ)TR3A があったことに始まる。レンガに載せられてシートで覆われ、箱に囲まれていたっけ。ガラクタの下に潜むその形に、僕は興味津々だった。そもそも機械が好きなんだ。ずっとそうだった」

クラシックカーへの情熱は、ガイのキャリアが急上昇する中でも消えることはなかった。そしてコールドプレイの成功によって憧れに手が届くようになった。「コレクションを始めたのは7、8年前だ。また乗りたくてたまらなくなってね。そこで、Eタイプを2台購入して、自宅の作業場でバラバラにした。以来しばらくEタイプに取り憑かれたよ。結局、ガレージに10台以上並ぶことになった」

TR3AにEタイプ、ビッザリーニとは縁もゆかりもなさそうだが…。ガイはこう説明する。
「英国車だけじゃない。一番の関心は、60年代のヨーロッパのスポーツカーにあるんだ。それは1961年に始まり、1974年に途絶えた。面白いことに、僕は音楽も同じ時代が好きなんだ。まさに黄金時代だった」

ガイのコレクションには、フェラーリ275GTB 、マセラティ・ヴィニャーレ・スパイダー、様々なランチア、ミウラ、そしてもちろん5300GTがある。

購入理由を聞くと、ガイはこう答えた。「ビッザリーニは、他の60 年代の車、いやどんな車よりエキゾチックだと思う。ユニークなスタイルで、見る者に挑んでくる。どの角度から見ても、また恋に落ちるんだ。何度も何度もね」

しかし、ひと目惚れではなかったという。「この車は、ニューヨークのディーラーでしばらく売りに出されていたんだ。別の車を見るためにそのディーラーに行くと、相変わらずそこにあった」

「その頃からビッザリーニの本をいろいろ読む
ようになった。ジョットの物語が興味深いことは、少しかじればすぐに分かるけれど、それだけでなく、たぶん史上最も重要なエンジニアであることも知った」

この5300GTは、めずらしいオリジナルコンディションといい、ビッザリーニの波乱の人生における重要性といい、ガイの求めるものをすべて満たしていた。

「走行できる状態ではなかったけれど、まったくの手付かずで、レストアも受けていなかった。そこに惹かれたんだ。僕は常にオリジナルコンディションのものを選ぶ」

慎重な作業を経て甦った5300GTは、ドライブして楽しむ予定だ。「イベントに参加するのが好きなんだ。ミッレミリアやツール・オート、スコットランドを友人とロードトリップするのもいい。

だからこの車も間違いなく使うよ。今度、モデ
ナ・チェント・オーレ(ミサノ、イモラ、ムジェロでのタイムトライアルを含むラリーイベント)に参加するから、ビッザリーニで出るのもいいかもしれないね」

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. )  Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Jethro Bovingdon 

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