倉庫の片隅で眠っていた膨大な大衆車コレクション ~後編~

Photography:Junichi OKUMURA

前編

2カ所目の倉庫へ移動すると、倉庫の外に10数台の車たちが置
かれている。なんでも、このコレクションを譲り受けてからは、スタッフ総動員で、エンジンがかかりやすそうな車両から整備を始め、すでに動態となった車両だという。

倉庫内へと足を踏み入れると、上下2段の立体駐車リフトが設置されており
、ギッシリと車たちが収まっている。そして空調設備までもが完備されており、元オーナーがいかに大事にコレクションしていたかが分かる。そして、整備途中だというベレット、三菱GTO、ミニカなどの自動車が30台が収納されているほか、ヤマハ、カワサキ、ホンダ、スズキとメーカーごとに分けられた100以上のモーターサイクルが並んでいる。

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次の倉庫へと案内されると、まずはモーターサイクルがお出迎え。扉からまずはスズキの小排気量車、そして同じく1960年代のホンダが並ぶ。仕切りの奥に並ぶ車たちは、様々な年代のモデルごとに年代順に並べられている。なかでも故人が好きだったという約10台の歴代トヨタ・クラウンは、ワゴンからピックアップまでの揃っており圧巻だ。

2階への階段を上りドアを開けると、まずは歴代のコロナがお出迎えしてくれた。バンなどの珍しいものもある。

そして、この倉庫には、2階へも車を収納できるよう、カーベーターまで設置されている。コレクションの為に作られた倉庫から、故人はまだまだ意欲的にコレクションを増やそうとしていたのが伺えると、塚野さんは語った。2回には、コレクションのなかでも多いトヨタ・コロナ、マークⅡが整列し、バンやピックアップといった珍しいパブリカや、マツダRX3バンといった希少車がある。

これだけのコレクションであるが、地元の自動車修理などに関わる
専門業者も、その事実は誰も知らず、この地域のカーマニアのなかでは、◯◯さんは車をたくさん持っているらしいと噂はあるもの、それを見たものはおらずに、ある意味、地元のカーマニアのなかでも都市伝説のようなものであったという。そのように、誰にコレクションを見せる訳ではなかった故人であるが、収集したクルマたちへの探究心は熱心だった。

そして、トヨペット・コロナマークⅡの一群が並ぶ。その横には日野コンテッサの姿もあった。

それはカーグラフィック
や、モーターサイクルリスト、月刊オートバイといった専門誌の新車当時の記事にはおびただしい数の付箋が貼られ、それを参考に価格や動力などのスペック、その年代の初任給や社会的出来事、さらにはこの個体がどのような使われ方をしていたなどを書いたボードを、集めた車のほとんどに作成するなど、研究することを楽しんでいたそうだ。

また、これらの入手方法であるが、中古車販売店での購入は少なく、1970年代からの自動車雑誌、モーターサイクル雑誌の個人売買欄からの入手が多かったようだ。従業員の人が遠くまで行って引き取ってくることもあったと、ご遺族からの証言もあるという。

日野コンテッサの内装を覗いてみた。ステアリングは保護され、このようにダッシュの割れや、シートの痛みもない。それは、このコレクションのすべてに言えるのだ。

亡くなる直前まで、コレクションを続けていた故人である、きっと存命であ
ったら、大切にしてくれると分かっていても、決して他人に譲ることはなかったはず。そう考える塚野さんは、この全てのコレクションを現在、リストアップしているそうだ。自動車170台、モーターサイクル317台という膨大な数であるこのコレクション、気になる数台は自身で所有したいというが、個人で持ちきれる数ではないので、全ての状態を書き出し、写真撮影を行い、Webサイトを制作するという。そうして、故人同様に大切にしてくれるオーナーのもとへと渡すことができればと考えている。

そうした情報は、塚野さんが代表を務めるワイズスクエアのwebサイトで順
次、報告していくというので、この記事をご覧になり興味を持たれた方は、webサイトの完成をお待ちいただけたら幸いである。

協力:ワイズスクエア http://www.behrman.jp/

文:奥村純一 Words: Junichi OKUMURA

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