まさかの低価格で話題! クラシック・ミニに最新エンジンを積んだリマスタードモデルの全容

1967年スイフチューン・ミニ・マドウィック(Photography:Jayson Fong)



SW5カムシャフトの秘密
コンパクトなボディに魅力がたくさん詰まった車だが、構想の要はエンジンだ。スイフチューンといえば、勝利へと導くレース専用エンジンを作ることで有名なチューナーだ。

圧縮比10.2:1の1275ccエンジン(この車は1293ccに拡大)だから、添加剤を入れるなど面倒なことをしなくても、オクタン価95の無鉛ガソリンに対応できる。クランクは標準の1275cc用だが亀裂試験と測定後、再研磨とストローク調整(工場出荷時、ストロークは0.25mmほど変わる場合がある)が行われ、スチール製のレトロなフライホイールとクーパーSの強化クラッチ(ブルークラッチ)キットが取り付けられている。同様に標準の1275cc用コンロッドも亀裂試験を行い、長さを均等にしたあとでバランス調整を行い、ビッグエンドにはARPボルトを用い、ピストンはオメガ製の鍛造品を奢っている。

エンジンの性格づけの要はカムシャフトだ。パワーカーブやトルク特性、アイドリングのスムーズさ、そしてこれら3要素のスムーズな繋がり、さらに燃費や車検通過の成否などなど、エンジンのさまざまなディテールに影響するからだ。過去20年間に行われたBMC Aシリーズエンジンのチューニング作業の大部分は、カムシャフトに関するものだった。1.5:1の鍛造ロッカーアームでバルブを開くことで人気があるスイフチューン製のSW5カムを採用することで、標準の1275クーパーSの公表値である76hpを98hpに高めている。SW5はスイフチューンで最大の売り上げを誇る商品のひとつだが、旧型と新型の出力には大きな差がある。

気持ちのいいエンジン
「スペシャル・チューニングを扱っていた昔は、カムプロファイルは曲線と直線を使ってボード上に描くことができるもの、実際に製作できるものに限られていました。必要なベース円、リフト量、作用角を決め、それから直線で曲線をつなげていくという手順です」とニックが説明する。こうして完成したのがピントで使用された「285」と同様、改造ミニに必ず使われた「731」や、公道で使用するには不安定すぎるパワフルな「649」などのクラシックカムだ。どちらも限界と妥協があった。SW5カムと、2基の11/2サイズのSU H4型キャブレターを備えたこのエンジンのアイドリングはごく標準的で、高性能カムが取り付けられていると気付くことはまずないだろう。

ニックはさらにこう付け加えた。「今では、フォロワーがカム上に収まるように、より緩やかなランプ角を使用するなど、はるかに細かく設計することができます。昔のように長時間にわたってローリフトではなく、現在は短時間、ハイリフトを採用しています。SW5の作用角は約260°で、昔なら上手くいって0.40インチだったリフト量は0.43インチになっています。レース用のカムなら作用角が310°になる場合もあります」

SW5が最もその力を発揮するのが5500rpmまで、ニックによると私たちドライバーのほとんどは90%の時間をこの回転域以下に維持しているという。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺千香子(CK Transcreations Ltd.) Translation:Chikako WATANABE(CK Transcreations Ltd.) Words:Paul Hardiman Photography:Jayson Fong 取材協力:スイフチューン(www.swiftune.com)

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